LCCが殺到!関空が描く「アジアハブ」の野望 中国、韓国、台湾…若者で溢れる関西の空
これまでの知見が生かされたのは、今回の新ターミナルビルも同様だ。建設計画が立ち上がったのは前身の新関西国際空港株式会社(新関空会社)時代だが、関西エアポートが引き継いだ後に2つの大きな修正を加えたという。
1つは保安検査場に導入された「スマートセキュリティシステム」だ。国際線に乗る際に最も手間なのが保安検査だが、この新システムによって待ち時間はこれまでの3分の1になるという。「チェックインや保安検査、入国審査は待ち時間のボトルネック。空港会社として顧客満足度を上げるために重要な点だ」(ムノント副社長)。
トレーの移動を自動化して人間が動かす手間を省いたほか、トレーの流れるレーンを従来の国内空港のものより2倍以上延長して複数の人が一度に利用できるようにした。現在は1時間当たりの対応人数が180人だが、300人をさばけるようになるという。またボディスキャナーを取り入れ、検査員の手によるボディチェックよりも素早く検査を終えられるようにした。
海外空港を手本に免税店を充実
保安検査を経て出国審査を終えた客が目にするのが、ターミナル計画における2つ目の修正点だ。「ウォークスルー型」と呼ばれる免税店である。商品の展示スペースの間の曲がりくねった通路を通り抜けなければ、搭乗口にたどり着けない形になっている。これにより多くの商品が客の目に触れ、購買を促せると見ている。
効果はすでに出始めた。新ターミナル開業後15日間の免税店の売り上げは前年の同期間と比べて50%増えたという。中国の旧正月に合わせてオープンできたことが功を奏した。
実はこのウォークスルー型免税店はシドニーや香港、ドバイ、カンボジアのシェムリアップなどの空港にあり、世界中で取り入れられている。「日本の空港は免税エリアよりも出国審査前のほうが小売店が多い。ただ関空の利用客の7割は外国人。彼らは出国審査をなるべく早く済ませて、その後に買い物をしたい。だからこそ免税店の充実が必要だった」(ムノント副社長)。
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