LCC「バニラ」が赤字、過熱するアジア航空競争

旅客数は増えているのに単価が大幅下落

成田空港を離陸するバニラ・エアの航空機「A320」。業績の安定飛行も実現できるか(撮影:尾形文繁)

「第3四半期までの決算はぎりぎり赤字になってしまった」

航空大手ANAホールディングスの平子裕志CFO(最高財務責任者)は1月27日の決算会見で、傘下のLCC(格安航空会社)バニラ・エアの業績をそう表現した。数千万円単位の赤字だという。前2015年度は第3四半期までで11億円の営業黒字が出ていたことを考えれば、大きな減速である。

最大の要因は、バニラの主戦場である台湾と香港の両路線が供給過多に陥っていることにある。バニラが現在運航する国際線7路線のうち、台湾路線は成田―台北(桃園、以下同)、成田―高雄、関空―台北、沖縄―台北の4つで合わせると1日最大7便となる。また、香港路線は成田―香港の1つで1日2便だ。つまり競争の激しい路線の割合が高い。

台湾・香港路線で競争が熾烈に

航空機を増やして新規路線を設けた結果、バニラはこの第3四半期までで旅客数が前年同期比約18%増となった。だが運賃下落が著しく、単価は同2割以上落ち込んでいる。

2015年度は通期で売上高217億円、営業利益は約15億円となり、設立以来初めて黒字化を達成した。今2016年度は当初、営業利益を30~40億円と大幅な増益を見込んでいた。ただ第1四半期(4~6月期)で4億円の営業赤字を出し、上期(4~9月期)では夏の書き入れ時があるため8億円の黒字となったものの競争激化の影響で想定に届かず、中間決算時に通期予想を10億円へと下方修正した。そして10~12月の落ち込みが激しく、第3四半期累計で再び赤字となった。

引き下げた計画を達成するにも、1~3月だけで10億円強の利益を出さなければならない計算になる。2月下旬には成田・関空―函館、3月下旬に関空―奄美大島といった新規就航があるものの、航空会社にとって閑散期であるこの3カ月では相当にハードルが高いといえる。

台湾と香港の路線はどれほどの競争になっているのだろうか。バニラが運航する路線でいえば、成田―台北線にはほかに現在大手のフルサービスキャリア(FSC)6社とLCC4社、関空―台北線にはFSC5社とLCC3社、成田―香港線にはFSC5社とLCC2社が就航している。多くの場合1日複数の便を飛ばしており、それだけ供給座席量は多い。

こうした競争に耐えられなくなったのが、台湾の航空会社だった。LCCのVエア、そして親会社だったFSCのトランスアジア(復興)航空だ。

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