シリア空爆の裏でトランプ氏がしていること

国際援助を大幅縮減する米国の前途

トランプ政権は猛烈な勢いで、国際援助費用の削減を進めようとしている(写真:Kevin Lamarque/ロイター)

猛毒サリンで自国民を攻撃したシリアのアサド大統領に対してドナルド・トランプ米大統領が取った行動は、悲劇的なほど矛盾している。罪のない子どもが神経ガスで殺害される画像に突き動かされ空爆の行動に出た、とトランプ大統領は語った。だが、同政権が後押しする予算案は、シリアを含む世界の人道問題を一段と悪化させるものだ。

トランプ大統領は国連拠出金の3割カットを掲げる。国際的な人道支援を弱体化させる行為だ。加えて、飢餓防止などの政府プログラムも撤廃する方針。米国務省はアサド政権によって家を追われた難民に対する緊急人道支援も廃止する予定だ。

支出削減するには最悪のタイミング

さらに国際開発庁の食糧計画の大幅縮減、ユニセフ(国連児童基金)拠出金の3分の1カット、国連世界食糧計画に対する20億ドルの拠出金削減も議題に上っている。

こうした支出削減を行うのに、今ほど悪いタイミングはない。国連は2011年以来、6年ぶりに飢饉(ききん)発生を宣言した。ナイジェリア、ソマリア、南スーダンなどで2000万人が飢餓に苦しんでいる。ユニセフ推計によれば、1400万人もの子供が重度の急性栄養失調で死の危険にさらされている。世界では近年、6500万人が自国を追われ、うち2300万人が難民となっている。

次ページ軍事行動だけでは問題は解決しない
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 財新
  • 実践!伝わる英語トレーニング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT