暴走北朝鮮を封じるには経済分析が不可欠だ 為替も物価も「二重構造」の歪んだ経済実態

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外国製の食品など、気軽に買っていく平壌市民も増えた(2016年4月、平壌春季国際商品展覧会で)

北朝鮮情勢は緊迫した状態が続いている。弾道ミサイルなどの発射実験を継続し、新たな核実験の実施も懸念されている。

故・金日成主席の誕生日であり、北朝鮮では最大の祝日となる4月15日前後は北朝鮮有事の可能性が取りざたされる一方、外国メディアが多数入国して首都・平壌の様子を報道した。だが、平壌市内を見る限り、経済難というほどのイメージは感じられず、市民たちは楽しげに祝日を過ごしている様子も映し出された。北朝鮮経済はどうなっているのか。そんな疑問を持つ読者も少なくはないだろう。

ここでは、現在の北朝鮮経済を読み解くカギを紹介したい。同国の経済構造を知らずして危機脱出の経路を探ることはできないからだ。

北朝鮮が持つ二重経済構造

北朝鮮経済を理解するためには、北朝鮮が持つ「二重経済構造」がどのような原理で動いているのかを理解する必要がある。北朝鮮は世界で最も閉鎖的な国だ。北朝鮮経済の内部を見るためには、わずかに外側へ開いている窓からのぞき込んでみるほかない。その窓は、貿易と為替レートだ。

特に為替レートは、外部経済との結節点でもある。北朝鮮住民の1カ月の生活費はおおよそ3000北朝鮮ウォン(後述の市場レートで約75円)。ここで注意して欲しいのは、生活費=月給ではないということ。それは、配給を行うために国定価格が決められており、これに合わせて生活費が支給されるためだ。

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