高級腕時計ブランドの「灰色市場」は必要悪か

オンラインショップ「大幅値引き販売」の裏側

「国外からたくさんグレーマーケット向けに腕時計が流入してくる。世界的にだぶついている商品は、以前だったら香港に流れていたが、今はそれが米国に来るようになった」と語るのは、米国で複数のスイス最大手ブランドの公式販売パートナーを務める一方で、オンラインで中古腕時計を販売しているダニー・ゴブバーグ氏。

ゴブバーグ氏は、新品を中古として彼のオンラインショップで販売しないかというブランド側からのオファーが時折あることを認めたが、ブランド名は明かさず、それは彼の事業の小さな部分に過ぎないと語った。

安さが魅力に

グレーマーケットは決して米国の専売特許ではない。ドイツの「Chrono24.com」は香港とニューヨークに営業事務所があるほか、アマゾン<AMZN.O>やイーベイ<EBAY.O>でもグレーマーケット向けの腕時計が大量に売られているという。

「グレー」と呼ばれるだけに、こうした市場については何の統計もなく、どのようなシステムで動いているのか積極的に説明しようという販売業者もほとんどいない。

偽造品とは違い、グレーマーケットで販売される腕時計は、合法的な真正品であり、正当な所有者によって販売されている。だが、ブランド側は正規のネットワークで販売された腕時計以外の修理を拒んでいるため、保証書は付かないのが一般的だ。

これにより購入意欲を削がれる人もいるだろうが、より価格に敏感な他の買い手は、実際オンラインショップの利便性を好んでいるのかもしれない。こうしたショップは、古い腕時計の下取り、ローン仲介、最安値保証、独自保証や修理サービスなどで潜在顧客を誘っている。

ランドール氏によれば、顧客に迅速に商品を届けるため、ほとんどの商品は米国内で調達しているものの、ドル高のおかげもあって、欧州で有利な取引が実現する場合もあるという。

「つい先日もジャケ・ドローの素晴らしい『エクリプス』をシカゴのビジネスマンに販売したが、チューリヒから有利な条件で仕入れ、迅速に出荷することができた。仕入れ価格が非常に安かったので、顧客には、さらに2000ドル値引きを行った」とランドール氏は言い、定価2万9300ドルから22%引きでその腕時計を売ったと付け加えた。

カラチに住むサイフッラー・カズミさんは、タグ・ホイヤーカレラを「Jomashop.com」でほぼ半額で購入し、親戚にパキスタンに持ち帰ってもらった。地元店舗で調べたところ、真正品だと確認されたという。

カズミさんは、当初はこのショップの合法性を疑い、保証書が付かないことを気にしていたが、大幅な値引きの魅力には勝てなかった、と語った。

(執筆:Silke Koltrowitz、翻訳:エァクレーレン)

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