若き「独立時計師」のクレイジーすぎる挑戦

1800万円の腕時計も通過点に過ぎない

1本を作るのに1年を要す1800万円の時計を製作する菊野
世界に34人しかいない独立時計師。30歳の若さでその称号を得た菊野昌宏がいま製作しているのは、江戸時代に作られた和時計の仕組みを腕時計に落とし込んだ1本1800万円の「和時計・改」だ。複雑極まりない機構を持つこの時計はしかし、菊野にとって通過点に過ぎない。稀代の時計職人が目指す「クレイジーな時計」とは? その後編。

 

2010年、和時計の機構を腕時計に落とし込んだ「自動割駒式和時計」を完成させた菊野昌宏。これまで誰も作ったことがなかったこの時計が、思わぬ出会いをもたらした。

世界的に著名な独立時計師、フィリップ・デュフォー氏の知人がたまたま学校を訪ねてきた際、「自動割駒式和時計」を見て、「これは面白い時計だ。写真があったらフィリップ・デュフォーさんに見せるから、何かない?」と菊野に声をかけた。

著名な独立時計師との出会い

これまで撮りためていた画像データをその場で渡すと、数カ月後、フィリップ氏から「直接、時計を見たい」と連絡があった。

実は、菊野が自衛官時代に「独立時計師になりたい!」と思うきっかけとなった、時計雑誌で取り上げられていた独立時計師こそ、フィリップ氏だった。憧れの人に会えるまたとない機会だと、その年の11月、菊野がアトリエのあるスイスを訪ねると、フィリップ氏から「非常に限られた環境で良く作ってるね」とねぎらいの言葉をかけられた。

そして、予想もしなかった誘いを受ける。

「来年のバーゼルワールド、独立時計師協会のブースで展示してみないか」

次ページバーゼルワールドとは?
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 若者のための経済学
  • 今日も香港から
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
船・港――海の経済学<br>ニッポンの生命線が危ない

環境規制の強化によって、日本の海運会社は大きな投資を迫られています。中韓に敗れた日本の造船業界はさらなる再編が不可避に。日本の港湾の競争力低下も止まりません。「海をめぐるグローバル競争」の最前線を掘り下げます。