2010年、和時計の機構を腕時計に落とし込んだ「自動割駒式和時計」を完成させた菊野昌宏。これまで誰も作ったことがなかったこの時計が、思わぬ出会いをもたらした。
世界的に著名な独立時計師、フィリップ・デュフォー氏の知人がたまたま学校を訪ねてきた際、「自動割駒式和時計」を見て、「これは面白い時計だ。写真があったらフィリップ・デュフォーさんに見せるから、何かない?」と菊野に声をかけた。
著名な独立時計師との出会い
これまで撮りためていた画像データをその場で渡すと、数カ月後、フィリップ氏から「直接、時計を見たい」と連絡があった。
実は、菊野が自衛官時代に「独立時計師になりたい!」と思うきっかけとなった、時計雑誌で取り上げられていた独立時計師こそ、フィリップ氏だった。憧れの人に会えるまたとない機会だと、その年の11月、菊野がアトリエのあるスイスを訪ねると、フィリップ氏から「非常に限られた環境で良く作ってるね」とねぎらいの言葉をかけられた。
そして、予想もしなかった誘いを受ける。
「来年のバーゼルワールド、独立時計師協会のブースで展示してみないか」
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