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編集長時代、夜遅くまで仕事をしながら、月曜から木曜まで毎晩よさこいの練習に参加し、土日は遠征をしていたというエネルギーの塊のような松浦さんは、ある日、決意した。

「そうだ、起業しよう!」

松浦さんの頭に浮かんでいたのは、縁もゆかりもない古民家鑑定士だった。

「たまたま古民家鑑定士という資格があると知って、自分のなかのアンテナが、なにそれ、面白そう! って反応したんです」

古民家鑑定士の認定をしている一般財団法人 職業技能振興会によると、古民家鑑定士とは「古い民家の保存、活用、再利用を目的に、建築的見地および環境保全の見地に立ち、専門的な知識と技術を用いて、お客様に適切なアドバイスを行なう者」とある。

試験勉強を始めると、古民家は現在の建築基準法が定められた昭和25年以前に建てられた木造住宅と定義されており、1度壊してしまうと2度と同じ伝統工法では建てられないことを知った。そして、老朽化や跡継ぎ不足でどんどん取り壊されていることも。

「祖父が大工で、自宅も古民家だったから親しみがあった」という松浦さんは、古民家の現状を知って「すごく貴重だから、残していかんと!」と奮い立ち、勉強を始めて半年後に1級の資格を取得。寿退社からわずか1年後の2011年3月3日、古民家の再生を手掛ける「一般社団法人 おんなたちの古民家」を立ち上げた。

「全国古民家再生協会に問い合わせてみたら、古民家鑑定士はほとんどが男性で、古民家を扱う事業で20代の女性は全国でも初めてらしく、『大丈夫ですか!?』と言われたんです。それなら女性の視点を活かせると思って、『おんなたちの古民家』と名付けました」

私生活でどん底に

自分の仕事を手伝ってくれるものだと思っていた夫は、妻の起業に仰天。どうなっているのかと問われもしたが、念願の起業を果たした松浦さんは、もう止まらない。県内の古民家を取材してホームページで発信しながら、「古民家大好き女子部」を発足。古民家を会場にしたコンサートや料理教室を開催し、コミュニティをつくっていった。

記者として鍛え上げられた松浦さんの武器は、「物おじする」という言葉が辞書にはないような突破力と発信力だ。自分で取材をして記事を書けるうえに、どんな企画ならお客さんが集まりやすいか、どんな人を巻き込んだらメディアに取り上げられやすいかという記者時代に培ったノウハウがある。松浦さんは「20代で古民家再生を手掛ける女性起業家」としてすぐに知られるようになり、起業した年の9月には、空き家への移住希望者の受け入れを目指していた山口市から阿東徳佐の「山口市定住サポーター」に任命された。

徳佐に通うようになって見えた課題は、古民家の老朽化。移住希望者がいても、ボロボロの家に住みたいという人はいない。そこで、地元の設計士、大工、左官などに声をかけて20社ほどで古民家再生のネットワークをつくり、古民家に住んでいる人、売りたい人、移住したい人などからの相談を受けて、徐々に収益化していった。

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