きちんと自分の意見をサポートし、人を説得するに足る理由を考えるのが苦手な研修生が、とても多いことにびっくりします。違う単語で言えば理由として有効と思ってしまうようなのです。たとえば、次のような回答もよく耳にします。
✕I like writing letters more than sending emails because letters are better than emails. (私はメールよりも手書きの手紙のほうが好きです、なぜなら手紙のほうがメールよりもいいから)
日本語ではあいまいな表現が許容されやすい
「それでは理由にならないよ」と説明すると、すぐに理解してくれるのですが、どうしてこうも頻繁に「意見を繰り返しただけの理由」が横行してしまうのでしょう。日本語では、あいまいな表現が許容されやすいというのが原因なのではないかと思います。
はっきり言わずとも、聞き手が意図を酌み取ってくれる文化、ハナコさんの言葉を借りれば「高コンテクスト文化」ですので、文面上、多少矛盾していても、聞いているほうも不思議に感じない傾向が強いのだと思います。
先日、ランチを食べに行った定食屋で、OLふたり組の横に案内されました。そのときに聞こえてきた会話ですが、
というやり取り。なんの変哲もない、よくある会話なのですが、英語にしてみると、理由を説明している部分が弱いことがわかります。
「時間がない」と「忙しい」はほぼ同義なので、「なぜ?」という質問の答えになっていないのです。英語で ’cause he is busy. と言われたら、思わず With what? (何に?)とさらに聞きたくなります。そもそもその部分を知りたいための質問だったわけですから。
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