先日、ある化粧品会社の英語研修で、ちょっとしたディスカッションをしていたときのことです。トピックは「言葉による愛情表現は必要か」。研修生のハナコさんの回答が、まさに「結論が最後」の形でした。
What do you think, Hanako? (ハナコさん、どう思う?)と聞くと、Well…(そうですねえ……)と少し考えてから、ハナコさんが答えてくれました。
✕ In Japan, we live in a high context culture, so we don’t have to say things the listener can guess. My husband knows that I love him, so I don’t think I have to say it aloud. (日本は高文脈文化ですから、相手が推測できることはわざわざ言う必要がありません。夫は私が愛しているとわかっていますから、声に出して言う必要はないと思います)
意見としてはすばらしいですし、「そういう考え方もあるか」と納得できるのです。
が、英語的には、まずハナコさんが In Japan,… と始めたあたりで、「あれ? ハナコさん、質問聞き間違えた? もしかして理解していない? 何の話をしてるの?」と不安になります。文章が進むにつれ、ようやく「あ、これは説明なのか……」とわかるのです。
聞き手がいちばん知りたいこと
でも、ハナコさんの立ち位置がわからないまま、先に説明をされても、中身が頭に入ってきません。英語では、結論を先に聞かないと、相手が何の話をしているのかよくわからずに、聞き手にフラストレーションがたまります。聞き手のいちばんの欲求は、「賛成なのか」「反対なのか」という結論の部分をまず知ること。
ですから、結論を先に言ってしまえばいいのです。ほぼ同じ文を使って、順番を変えるだけで一気にわかりやすくなります。
まず、ハナコさんの回答を簡単に分析してみましょう。大きく分けて3つのパートで構成されているのがわかります。
・理由(日本は高文脈文化なので、相手が推測できることは言わない)
・事例・説明(夫は私の気持ちを知っている)
・意見(言葉による愛情表現は必要ないと思う)
これを、
(1)意見 →(2)理由 →(3)事例・説明
の順にすると、英語らしい文章になるのです。
I don’t think we have to say “I love you” to our spouse or partner because in Japan we live in a high context culture and don’t say things the listener can guess. For example, my husband already knows that I love him, so I don’t have to say it aloud. (「愛してる」と口で言う必要はないと思います、なぜならわれわれ日本人は高文脈文化の中で暮らし、聞き手が推測できることはわざわざ言わないからです。たとえば、私の夫は私が彼のことを愛しているとわかっていますから、私はそれを声に出す必要がないんです)
これは日常会話にも当てはまることです。
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