ベンツ「Eクラス」最上級車はSクラス並みだ 権威主義者も悩ませる超フワフワの乗り心地

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今度のEクラスはカーブでステアリングを自動的に切ってくれる。小田原厚木道路なのでごく緩やかなRのみだけれど、ステアリングが勝手に動くさまに一応驚いた。さらに、移動したい車線側へウィンカーを2秒以上出すと、障害物がないかどうかを判断してからクルマが自動的にそちら側にスッと動く。すごい時代になったものだ。ヤザワもビックリである。

とはいえ、これらが本当に役に立つのかどうか、日常で検証する必要がある。申し訳ないけれど、筆者には買えないので、無理である。筆者にいえるのは、冒頭に記した感慨のみである。「E400 4MATICはSクラスみたいだった」。電動パワーアシストのステアリング・フィールもよく似ている。目から入る情報、大型の液晶メーターとかフェイシアのなだらかな曲面とか、運転席まわりのデザインにしても、これほどSクラスそっくりのEクラスは過去にもなかったのではあるまいか。

クルマ選びは悩ましい

メルセデスはいつだって、あるクラスの一番高級な仕様はそのひとつ上のクラスの一番下の仕様と重なるような商品構成をとっている。たとえば、このE400 4MATIC、Eクラスの一番高い仕様と、Sクラスの一番安い仕様であるS300hを例にとると、2.2リッター直4ターボと電気モーターを組み合わせたハイブリッドのS300hはスリー・ポインテッド・スターの旗艦ながら、車両価格998万円と1000万円を切っている。E400 4MATIC は988万円で、その差はわずか10万円だ。

Sクラスはホイールベースが3035mmもあって、全長は5mを10cm以上超える大型車である。新型Eクラスはホイールベース2940mmで、先代より65mm広げられているけれど、依然全長4930mmと、当たり前だけれどSクラスよりも10cmほど小ぶりだ。

10万円しか高くないのだったら、Sクラスを買ったほうが断然イイ! と権威主義の筆者は思うわけだけれど、ちょっと待ってください。E400 4MATICは4WDで、雪に強い! 冬の白い朝、2WDがお手上げの状況でも、モノともせずに出動してくれる全天候型という強みを持つ。

メルセデス・ベンツはSクラスを絶対的な存在、とメーカーみずからが位置付けていない。SクラスにもEクラスにも、いろんなパワートレインを与えて、それぞれに見合った役割が与えられている。だから、筆者にしても、E400 は「まるでSクラスだ」とは感じたけれど、「これだったらSクラスはもういらない」とは思わない。

ちなみに4MATICはE200アヴァンギャルドにもあって、そちらは698万円で手に入る。C200 4MATICのアヴァンギャルドを選ぶ手もある。ホイールベースが2840mmと、Eクラスより10cm短くなって、ボディがいっそう小ぶりで車両価格551万円とお求めやすい。メルセデスの場合、どのモデルにも見所があるからクルマ選びは悩ましい。

でも、SクラスみたいにフワフワのEクラスはE400 4MATIC エクスクルーシブだけである。そこにE400の価値がある。

(文・今尾直樹)

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