輸入車王者ベンツ、快進撃の裏に潜む「不安」 国内外で過去最高台数でも「収益性」に懸念
ベンツの快進撃が止まらない。独高級車ブランドのメルセデス・ベンツは、2016年の日本での新車登録台数が前年比3.4%増の6万7000台となり、4年連続で過去最高の年間販売台数をたたき出した。3年連続で6万台を超え、外国メーカーでは2年連続トップだ。
ベンツブランドを展開する独ダイムラーの日本法人、メルセデス・ベンツ日本(MBJ)全体では、4ドア車を新たに投入して前年比4倍の台数を販売したコンパクト車「スマート」ブランドを合わせると7万1000台。同社として初めて7万台の大台に乗せた。
売れ筋小型車とSUVで販売増
売れ筋である「Cクラス」(436万円~)の安定した販売はもちろんのこと、「Aクラス」(298万円~)や「CLAクラス」(379万円~)など、ブランドの中では廉価な小型戦略車5車種も引き続き堅調で、新規顧客の獲得に貢献している。
さらに「SUVイヤー」と銘打った2016年は「GLCクラス」や「GLSクラス」など、SUVのラインナップを拡充したことが台数の増加を支えた。1月25日の年頭記者会見に登壇したMBJの上野金太郎社長は「ブランド内の販売構成比率でSUVは数年前まで一ケタ%だったところ、2016年は20%を超えた」と手応えを語った。
グローバルでもベンツは勢いに乗っている。2016年のベンツブランドの世界販売台数は前年比11.3%増の208万台で、史上初めて200万台の大台を超えた。さらに独BMWを抜き、2004年以来12年ぶりに高級車セグメント首位に返り咲いた。ダイムラーのディ―ター・ツェッチェ会長は「2016年はメルセデス・ベンツ史上、最も成功を収めた1年だった」とコメントしている。
世界で順調に成長を続けるベンツだが、新車の販売現場は手放しでは喜べない事情がある。ベンツのあるディーラーは「(単価が比較的低い)小型車の販売比率が高まっている」として、収益性の悪化を懸念する。
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