「習い事狂騒曲」に翻弄されまくる親の葛藤

学歴だけでは足りない時代の子育て戦略

旅慣れた旅人は、バックパック1つで世界を飛び回ることができる。いつどこでどんな目に遭うかわからないからこそ、あれにもこれにも備えようとするのではなく、身軽な装備で旅に出る。いざとなったら、あり合わせのものでなんとかすればいいと覚悟を決めている。

旅慣れない人は、出発前からスーツケースが満杯だ。「こんなことがあったら困るから、これも入れておこう」「あんなことのために、あれも持って行こう」と考えるうちに、ビーチサンダルからダウンジャケットまで、栓抜きから非常食用の乾燥白米と梅干しまで、なんでもかんでもカバンに詰め込んでしまう。それでも不安は拭えない。

先行きの見えない時代に巣立つ子供のカバンに、いま、大人は何を詰め込むべきか。上記の例からも、答えは明白だ。

心配するのは親心。しかし、心配のあまり、子供のカバンにあれもこれもと詰め込めば、子供は身動きが取れなくなってしまう。念には念を入れて準備をしたのに、それでも想定していなかったことが起こってしまったら、「そのための道具は渡されていません!」とお手上げになってしまう。見守る親も、いつまでたっても不安である。

最低限の物を与え、臨機応変な使い方こそを教える

『習い事狂騒曲正解のない時代の「習活」の心得』(おおたとしまさ著、ポプラ社)。習い事に関して親がやらなければいけない一連の活動を「習活」と呼び、地に足をつけた「習活」を行うための心得を説く。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そうではなくて、子供のカバンには最低限の物を与え、臨機応変な使い方こそを教え、「これだけあれば、キミならなんとかなる」と送り出すべきではないだろうか。そうすれば子供は、知恵と勇気を振り絞り、親が思った以上の対応力を発揮し、自分の力で道を切り拓いていけるようになるのではないだろうか。そんな姿を見れば、親も安心して自分の人生を送れるはずだ。そしてそれがまた、子供にとっての手本となる。

英会話やプログラミング、プレゼンテーションのような「生きるためのスキル」をカバンの中にめいっぱい詰め込むために習い事をするのではなく、子供が本来もつ「生きる力」そのものを引き出す機会として、習い事をとらえたほうが健全だ。

「生きる力」と「生きるためのスキル」は違う。

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