「習い事狂騒曲」に翻弄されまくる親の葛藤

学歴だけでは足りない時代の子育て戦略

元AERA編集長の浜田敬子さんは、「取材をしたご家庭では、1週間に9つもの習い事をさせていました。特殊なケースではありません。結果、教育費のために仕事が辞められなくなります。子供の選択肢を増やすために、親の人生の選択肢を狭めているという皮肉な状態」として、教育への過剰投資に警告を発する。

まるで「習い事狂騒曲」

「これからの時代は、正解のない、先行きの読めない時代ですよね。こんな時代には勉強だけじゃダメですよね。もっと幅広い人間になってもらいたいと思うのですが、どんな習い事をさせるのが正解なのでしょうか?」という冗談のような相談を真面目に受けることが多い。まるで「習い事狂騒曲」。ほとんどパニックなのである。

どんな習い事を選ぶべきか、どうやって良い教室を探せばいいか、いつから始めるのがいいのか、どうやって子供のやる気を持続させればいいか、やめどきをどう判断すればいいか。

拙著で紹介したプログラミング教室の目的は、将来仕事に役立つプログラミングの最新技術を教えることではなかった。計算機やエクセルがある時代にそろばんを習う意味は、正確に帳簿を付けられるようになるためではない。英語を学ぶことは魅力的であるが、学習者本人に明確な目的と意欲がなければ、何年やってもあまり効果がないことは、多くの専門家が指摘するところだ。

そもそも習い事は早期職業訓練ではない。先行きが見えない時代に生きる子供たちのために、現在の価値観で生きる大人たちが未来を予測して、「これが必要」「あれも必要」と手を打つこと自体が滑稽なほどの矛盾である。

先行きは見えないのだ。だからこそ、不確かな予測を基にした損得勘定をするのではなく、どんな時代になっても生きていける普遍的な力を子供たちに携えさせなければいけない。習い事によってどんなスキルを身に付けるかよりも、子供の内面をどれだけ強くすることができるか、拡張することができるか、豊かにすることができるかこそ重視されていいだろう。

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