ここまでMOOCのことを述べてきたが、オンライン教育革命は、じつはMOOC登場以前から始まっている。たとえば、アップルが2007年から提供している「iTunes U」では、日本を含む世界26カ国の大学の講義・講義資料を無料で閲覧できるので、これまで世界的に普及してきた。
MOOCが英語圏の大学に偏っているのに比べれば、こちらは自国言語がある点で、日本でも利用者は多い。「iTunes U」には、東大、京大、慶應、早稲田など主だった大学が、コンテンツを出している。
また、オンライン講座と言えば、予備校の東進ハイスクールはすでに「ナマ授業」ではなく「衛星授業」が中心である。「いつやるか? 今でしょ!」のカリスマ予備校講師・林修氏の授業は、日本中の東進ハイスクールで受けられる。
絶望的に遅れる、日本のIT教育
このように、オンライン教育、Eラーニングは、圧倒的なスピードで進んでいる。しかし、日本ではいまだに黒板やボードに字を書いて、それを生徒がノートに写すというようなことを平気でやっている。電子黒板もITC導入も進んでいない。
アメリカの一般の学校、日本の主なインターナショナルスクールでは、小学校で生徒にPC(主にマック)がレンタルされ、iMovieなどを使って動画編集 のレポートを作成するような教育が日常的に行なわれている。また、電子黒板の普及率はイギリスやシンガポールなどでは8割を超えている。
しかし、日本では小学校でのPC導入は生徒約6人に1台、電子黒板の普及率は7割を超えたが、すべての教室にあるわけではない。
この連載では数回にわたり、英語教育の絶望的な遅れが、子供たちの将来を奪っていることを書いてきたが、このようなIT導入に関してはさらに絶望的だ。じつは、最近の母子留学(初等教育段階から海外に母子で留学すること)ブームも、日本の教育のIT導入遅れが原因のひとつになっている。
海外のインター入学を目指す親御さんたちの中には、子供に英語を話させたいことはもちろんだが、「日本の学校の子が紙と鉛筆で宿題をやっているのに比べ、インターの子たちは宿題をPC、タブレットでやっている。これでは日本の学校に行かせられない」と言う方も多いのだ。
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