教授も授業料も下宿代もいらない
もちろん、オンライン教育で教育のすべてがカバーできるものではない。ナマ授業はオンライン授業に比べたら、はるかに大きな効果がある。大学教育において、教授とのフェイストゥーフェイスで学ぶことは、オンラインでは得られないものがあるのは確かである。また、大学とは学ぶだけのところではなく、生涯にわたる友人ができる場でもある。
しかし、日本の大学、いや、小学校から高校も含めて学校全般が、フェイストゥーフェイスの教育、先生と生徒が本当に触れ合う教育をしているだろうか? また、学校が友人をつくり、友情を育む場になっているだろうか?
暗記重視、知識偏重をメインとし、試験にさえ受かればいいという日本の教育なら、すべてオンラインに置き換えても支障はないはずだ。高校の受験授業なら、東進ハイスクールの林教師の衛星授業をやったほうがよほど効果があるだろう。つまり、日本のほとんどの高校教師、大学教授は不要かもしれないのである。
アメリカの大学では、学生は教授とともにオンキャンパスで暮らす。ところが日本では、自宅通学か下宿通学で、教授が一方的に話すマスプロ講義が多い。これでは、MOOC革命の波に簡単に飲み込まれてしまうだろう。なにしろMOOCなら、教授も授業料も下宿代もいらないのだ。
現在、アメリカの大学では、MOOCと対面型の講義をいかに組み合わせるかということに、関心が行っている。それにともない、初等教育、中等教育、インターの教育も、日々変わっている。こうなると、MOOCによって世界が英語基盤のオンライン教育へと向かう中で、日本の大学教育、初等•中等教育も今後大きく変わらざるをえないだろう。
変わらなければ、待っているのは消滅の危機だ。
MOOC革命の本質は、「教育の民主化」が進むことである。そして、世界中の若者が参加できることにより、教育のグローバル化がよりいっそう進むことである。となると、グローバル教育は当然、世界標準語になった英語で統一化されていく。
独自の学歴が破壊される
そうなると、何が起こるだろうか?
確実に言えるのは、これまで世界各国が独自でつくってきた教育のキャリア形成プロセスは破壊されることだ。各国独自の学歴は、おそらく価値を持たなくなるだろう。
すでに、日本の教育では、ブラック企業と言われるユニクロにも就職できない状況が起こっている。今後、この傾向はさらに増し、就職難民を大量につくり出すだろう。もはや、一企業がブラックかブラックでないかなどと論じているのは馬鹿げている。
アベノミクスの第三の矢、成長戦略の柱のひとつはグローバル人材をつくる「教育改革」である。しかし、英語教育の小学校定低学年化、大学受験にTOEFL導入程度の改革では、日本の子供たちの将来はない。私は、日本の学校も早急にインター化すべきだと思っている。
国土強靭化で、いらない土木事業に大量に税金を使うなら、政府は教育にもっとお金をつぎ込むべきだ。経済成長は将来のイノベーションを起こす人材がやるのであって、金融・財政政策、まして土木工事がやるわけではない。
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