今回の連載では、日本のエリート大学に通う学生たちが、どんな家庭教育を受けてきたかについて考えます。
【大阪大学医学部 Aさんからの寄稿文】
私の両親は、どちらかというと放任主義です。教育に関しては、私がやりたいと思ったことは最低限、ある程度のことはしてきてくれました(すべて国公立ですが、大学まで進学させてくれました)。
両親は高卒であり、家族を養って行くことで精いっぱいで、生活のために毎日ストレスを抱えながら、あくまで「おカネを稼ぐために」働くことだけを機械的にしてきたような感じなので、現在の経済や社会的ビジネスなどにまったく関心がありません。それに、人生の中で海外に行ったこともほぼないです。そのため、周りの一般企業でバリバリ働いている友達の両親と比べ、とにかく「視野が狭い」と感じています。
子育てに関しても、「高校を卒業させて専門学校に行かせればそれで十分」というスタンスでした。というのも、親は経営学で言う「ライン」のポジションで働いており、ずっと家族の生活のために嫌々働いてきているので、父親の話を聞いているかぎりだと、自分の仕事に関する魅力も感じておらず、その仕事に対して向上心もありません。「おカネがもらえて、会社から辞めさせられなければそれでいい」というスタンスです。
それはその人の生き方なので、別に間違っているわけではないと思うのですが、ただ自分の仕事に対して誇りを持ったり魅力を感じていなかったり、ただただ機械的に働くのは、見ていてとても悲しいことだと感じています。
そのため、おそらく両親は「投資銀行」や「外資コンサルタント」のビジネスも知らないし(関心がないから)、むしろ外資系ビジネスについてはハードルが高すぎで、商社・金融・メーカーなど、一般的な文系ビジネスというのもおそらく知らない(関心がないから)と思われます。
はっきり言って、大学まで行かせてもらっているので私自身は何も文句は言えないのですが、もし親にこれ以上のものを望むとするなら、もう少し自分の仕事に誇りを持ち(持てないなら持てる仕事をするべき)、周りのことに関心を抱き、ある程度の目標を持って、少なくとも子供には高い目標を持てるように教育に臨んでもらいたかったし、そのためにどうすればよいか、ということを教えほしかったです。
高卒で働くことで忍耐力など培われる点もありますが、ビジネス的な観点や、人間性を深めるという観点や、いろいろな知識の面でも、両親が大学に行った経験がないというのは、人生の中で大きいと感じます(少なくとも、大学卒の私とまったく話がかみ合いません、笑)。
もし、全国の父母の皆さんにアドバイスをするとすれば、まずは、自分自身が後悔なく納得できる人生を送る。もし納得いかないことがあっても、そのためにどれだけ努力をしてきたか、自分が「全力を尽くしてきた」という経験を持ち、自分に自信をつける。
そして、直前の設問の「私の価値観」でも述べているとおり、周りの環境はとても重要な因子だと思うので、できるだけ、住環境なり、子供の学校や塾などの教育環境など、恵まれた場所で子育てを行うこと。
そして、つねに経済の流れを意識して、自分の生きてきた時代とは異なり、「今がどうなのか」ということをしっかりと把握すること。これらの自身の経験を基に、子供の教育に取り入れることができれば、むしろこれに尽きるのではないかと思います。
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