オンライン化が、”日本の学歴”を破壊する 高等教育のオンライン化がもたらす「衝撃の未来」(下)

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「カズタマイズ学位」も可能に

本家アメリカでは、当初、MOOCの進展に一部の大学や州が猛烈に反対した。しかし、MOOCを使えば誰でも良質な高等教育が受けられるのだから、反対は徐々に妥協に変わった。

カリフォルニア州では、3月に「オンライン科目について州内の高等教育機関が単位認定すべき」との法案が提出され、この6月に議会を通過した。この法案では、オンライン講義の制作に補助金を与えること、フレッシュマン、ソフォモア(大学1、2年)でのコースを20講義程度つくること、さらに大学が「Coursera」などのMOOC企業と連携することなども認められた。

ただし、現在のところ、MOOCのオンライン講座を修了できるのは登録者全体の5%以下とされ、大学側の危機感はまだ高まってはいない。

とはいえ、今後オンライン講座を提供する大学が増えていけば、大学で得られる「学位」(degree)と、オンライン講座の「修了証明書」(credential)が併存していくようになる。

また、学生たちは、たとえ既存の大学で学んでも、世界各地の大学が提供すオンライン講座の中から、自分の専攻に最適なものを選ぶようになる。そうして、その単位を修得して卒業認定単位にするというような「カスタマイズ学位」も可能になる。

さらに、中堅以下の大学の場合、教授、講師の授業は変わらざるをえない。その分野で自分より優秀な教授、講師の授業がオンライン上にあるのだから、今までどおりの授業で学生が満足するわけがない。つまり、ダメ教師は淘汰され、職を失う可能性がある。同じ意味で、存在価値がなくなった大学は淘汰されていく可能性がある。

これまでの教育は、特定の時間に特定の場所、特定の人間によって与えられるものだった。しかし、MOOC革命は、この制約を受けないのだ。

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