竹中平蔵「アベノミクスは100%正しい」 安倍政権の経済政策を占う
――成長戦略では、今後10年で世界大学ランキングトップ100に日本の大学を10校ランクインさせるという目標も掲げられています。
それにはそうとう努力がいります。私も大学の中にいて思うのは、大学のシステムの中にはマネジメントという概念がないことです。あくまで自治なのです。つまり自分のことは自分で決めると。そんなのダメに決まっていますよ。
戦後の悪夢を引きずる日本
――リーダーがいくら頑張っても変えられない。
そうです。リーダーが頑張っても今のシステムでは変えられない。慶応でも、塾長にはそんなに権限が与えられていません。重要なのはマネジメントなのです。
この問題に限らず、日本の問題はすべてそうです。いまだに戦後の悪夢を引きずっています。
たとえば、株式会社が農業に参入できないのも、昔の大地主と小作の悪夢があるからです。そうした関係を復活させないために、農業委員会を置き、いまだに企業の進出を認めないわけです。大学も、戦中に軍部が学問の自由に介入してきた悪夢から、外部には力を持たせないよう自治を貫くことになった。不動産についても、借地借家法で借り手の権利が強く守られているのは、旦那さんが兵隊にとられて留守を守っている奥さんと子どもが困らないようにするためだったわけです。
そうした権利を守るのはもちろん必要です。ですが、客観的な情勢は当時とは変わっています。食料が決定的に不足している時代と違い、今は世界中からすばらしい食料が入ってくる時代です。そこは時代背景に合わせて法律を柔軟に変えていかざるをえないですよ。
――成長戦略を実のあるものにするためには、事業を興す人がいないといけません。そうした変化の主体となるのは、外国人や若者でしょうか。
日本経済の規模は今も500兆円もあります。大きい経済です。これを動かすには、枠組みを変えなくてはいけません。その柱となる枠組みが3つあります。
ひとつ目は法人税の引き下げ。これは決定的に重要です。これは特区でどうにか風穴を開けたい。