竹中平蔵「アベノミクスは100%正しい」 安倍政権の経済政策を占う

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――これから、安倍首相が族議員らと戦っていく中で、最大の応援団となるのはどの集団でしょうか。

小泉さんを見ていて思ったのは、最大の応援団は世論だということです。ただ、世論とメディアはあきらかに違います。

――産業競争力会議が提案した「解雇ルールの明確化」について、メディアが「解雇の自由化」「解雇を原則自由に」と誤解を招くような表現で伝えたことを批判していました。

あの改革は、メディアと経済界が潰したようなものです。面白いことに、メディアの批判をすると、メディアの人は必死に言い訳してくる。批判ばかりしている人間は、自分が批判されるとすごく弱い。

ほかに規制改革の例でいうと、世界銀行の規制環境ランキングで、日本は2000年には40位でしたが、2006年には28位まで上がりました。そのときに「行き過ぎた規制緩和だ」とメディアがあおって、全部規制改革を潰してしまった。その結果、直近のランキングでは47位にまで落ちています。この改革はメディアがつぶしたんですよ。

もうひとつの問題は経済界です。今回、産業競争力会議で、「企業を強くするためにコーポレートガバナンスの強化が必要だ」と提案したところ、企業自身がそれを拒んできました。経済界は「政治はしっかりしろ」「決断できない政治」とさんざん批判してきましたが、自らに火の粉が及ぶと突然、抵抗勢力になる。自分たちが強くなることを拒んでいるわけです。

学校の公設民営ができれば面白くなる

――東京に国家戦略特区を作るという政策もインパクトが大きい話です。

それが実現できるかは総理の意志、官邸の意志、特区担当大臣のやり方にかかっています。これは間違いなく使えるツールです。これをどれくらい本気で使うかです。

たとえば、公設民営学校の解禁(公立学校運営の民間への開放)の議論が、早くもワーキンググループを通してできるようになりました。これは岩盤規制です。今まで10年間実現できなかった岩盤規制のひとつが、特区ワーキンググループの議論を通して、4週間でできるようになりました。

学校の公設民営ができれば面白いと思いますよ。たとえば、「港区のこの学校は徹底したグローバル教育をやる」ということも可能になります。グローバル教育において、日本は韓国に徹底して差を開けられています。韓国には、英語だけで授業をして、毎年アメリカのアイビーリーグに数十人も送り出す高校もあります。今の日本ではそんなことは考えられないですよ。

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