金利上昇で騒ぐ「頭の悪い」人たち 髙橋洋一が語る バーナンキの言葉

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
前回のインタビュー「バーナンキ『出口戦略』の真相」では、世界から注目を集めているFRBの出口戦略および、FRB議長バーナンキ自身の「出口(=引退)」について、嘉悦大学教授・髙橋洋一氏に話を聞いた。
髙橋氏は大蔵省在籍時に、米プリンストン大学に客員研究員として留学し、当時は同大で経済学部長を務めていたバーナンキとも親交があった。この5月にはバーナンキの講演集『リフレが正しい。―FRB議長ベン・バーナンキの言葉』(中経出版)を出版している。
今回の【後編】は、日本のアベノミクスにとって、FRBの出口戦略はどんな影響があるのか、バーナンキはアベノミクスの現状をどのように見ているのかについて話を聞いた。

「頭のキャパが小さい人たち」が金利上昇で騒いでいる

――5月末からは、日本国債などの長期金利の上昇が大きく騒がれていました。バーナンキはこれについても6月19日の記者会見で「(長期金利の)変動があることは、まったく驚くにあたらない」と答えていますね。

まさにバーナンキが答えているとおりです。まず何よりも、「金利上昇」を騒いでいる人たちは、決定的なことを見落としていますね。それは、実質金利と名目金利の違いです。目に見える金利、額面どおりの金利が名目金利ですね。「長期金利」という場合、彼らが議論しているのは、その見かけの数字が「上がった」「下がった」ということです。

この記事などはその典型ですね。

「アホノミクス」が5つの悲劇を引き起こす!

一方、金利上昇の懸念に対しては、こんな反論もあります。「いや、今までの日本の長期金利は低すぎたんだから、多少は上がってもいいんだ」と。ですが、これも私に言わせれば、ちょっと論点がずれている。

はっきり言ってしまうと、名目金利というのは実体経済には大して影響がないんですよ。じゃあ何が重要かというと、実質金利のほうです。これをわかっていない人が非常に多い。あるいは、本当は知っているはずなのに、国民たちが知らないのをいいことに、いたずらに危機をあおっている「有識者」もいますね。

まず定義を先に言うと、「実質金利=名目金利-予想インフレ率」です。これは講演集『リフレが正しい。』の中で、バーナンキもはっきり言及しています。

次ページなぜ実質金利をみるべきか
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事