金利上昇で騒ぐ「頭の悪い」人たち 髙橋洋一が語る バーナンキの言葉
「頭のキャパが小さい人たち」が金利上昇で騒いでいる
――5月末からは、日本国債などの長期金利の上昇が大きく騒がれていました。バーナンキはこれについても6月19日の記者会見で「(長期金利の)変動があることは、まったく驚くにあたらない」と答えていますね。
まさにバーナンキが答えているとおりです。まず何よりも、「金利上昇」を騒いでいる人たちは、決定的なことを見落としていますね。それは、実質金利と名目金利の違いです。目に見える金利、額面どおりの金利が名目金利ですね。「長期金利」という場合、彼らが議論しているのは、その見かけの数字が「上がった」「下がった」ということです。
この記事などはその典型ですね。
一方、金利上昇の懸念に対しては、こんな反論もあります。「いや、今までの日本の長期金利は低すぎたんだから、多少は上がってもいいんだ」と。ですが、これも私に言わせれば、ちょっと論点がずれている。
はっきり言ってしまうと、名目金利というのは実体経済には大して影響がないんですよ。じゃあ何が重要かというと、実質金利のほうです。これをわかっていない人が非常に多い。あるいは、本当は知っているはずなのに、国民たちが知らないのをいいことに、いたずらに危機をあおっている「有識者」もいますね。
まず定義を先に言うと、「実質金利=名目金利-予想インフレ率」です。これは講演集『リフレが正しい。』の中で、バーナンキもはっきり言及しています。