戦略的に移民を受け入れる「カナダの流儀」 そこにはブレない「多様性」がある

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――ほかにビジネスで気をつけたほうがいいことはありますか?

カナダ人は必要なときには意見をはっきり言うのですが、全体的にはそれほどアグレッシブではなく、控えめなところがあります。日本人と似ているわかりやすい例としては「すみません」とよく言います。日本では「ありがとう」という場面で「すみません」ということがありますよね。カナダ人も"Sorry"をよく言います。思いがけずプレゼントをもらったときなどに"Oh I’m sorry, you don’ t have to do that."(そんなことをしなくてもいいのに)など、本当は「ありがとう」という気持ちを伝えたいときに"Sorry"と言うのです。

カナダは個人主義よりも集団主義の気持ちが強く、グループや平等を大切にするため、相手を配慮した言葉を使うのでしょうね。英語に関しても、カナダだけで話されているような俗語はあまりありません。聞き取りやすい発音です。というのも、カナダでは移民や難民が多いですし、ルーツの国の文化を持ったままの人も多いので、英語を話すとは限らないのです。そのため、わかりやすい内容、話し方で話し、また相手の言葉もじっくりと聞くと言われています。

声高に主張しないところが日本人と似ている?!

――流暢な英語でなくても、気負わなくていいということですね。

そうですね、日本人とはとっても相性がよいと思います。よいことをしているのに、声高に主張しないところも似ています。カナダはアメリカと一緒にされてしまうところもあるので、もっとカナダの強みをアピールしてもよいと思うのですけどね。性格がまじめなので生産性が高く、高品質なところも日本人がビジネスを行いやすいところです。日本人と異なるところを挙げるとすると、室内温度でしょうか(笑)。カナダ人は寒さに強いので、オフィスの温度が低くて大使館でも日本人のスタッフは寒がっています。

ほかに日本とカナダが似ている点は、お互いに近くに大きなマーケットがあるために、もっと外へ拡げるチャンスを逃していることでしょうか。カナダはアメリカにマーケットがあり、日本はアジアがあるので、そこで満足をしてしまっているところもあるように思います。そこを越えて、これからももっと日本とカナダでビジネスを行っていきたいですね。カナダは地域によって強みが異なるので、ぜひ、Invest in Canadaというウェブサイトを見ていただきたいです。アルバータ州では農業の研究が盛んで、トロントなどアメリカに近い州では自動車産業、バンクーバーやモントリオールにはコンピュータゲームの開発など分野ごとに記載しています。

――カナダは世界の縮図で、今世界が向かうべき方向を率先して行っていることがよくわかりました。世界が全体的に内向きになっているなかで、カナダが行っていることをもっと日本の人にも知ってもらって、留学先やビジネスの相手にしてほしいですね。ありがとうございました。

(撮影:ヒダキトモコ)

竹村 真紀子 IWCJ代表

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たけむら まきこ / Makiko Takemura

一般財団法人International Women's Club JAPAN(IWCJ)代表理事
International Women's Club ASIA(IWCA)事務局長。日韓中を中心にグローバルマインドをもつ家族で構成される俱楽部を運営し、アジア圏でのビジネスマッチングを推進するとともに、次世代がアジア人としてグローバルに活躍できるよう、30カ国以上の駐日大使館の協力を得て、子ども向けにリトルアンバサダー・プログラムを開催。国際機関で海外人向けの「日本のビジネスマナー」研修を担当。
 

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