トランプの難民排除、知られざる意外な矛盾 オーストラリアからの受け入れは否定せず

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冷静に考えると不可解な話です(写真:freeangle/PIXTA)

イスラム教徒が多い中東・アフリカ7カ国の国民や難民の入国を一時禁止したトランプ大統領令が、大きな波紋を呼んでいる。ビザやグリーンカードがあるにもかかわらず、米国の空港で拘束・尋問される人が続出。混乱が広がる中で世界各国において抗議デモが勃発しているほか、主要国の首脳からも非難が相次いでいる。

カナダのトルドー首相は「カナダは迫害やテロや戦争を逃れてきた人たちを歓迎する」とツイート。ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領も「国際的な難民支援や国際協力の中核的な理念に反する」などとトランプを批判している。

豪州ターンブル首相はトランプに遠慮がちな姿勢

ところが、オーストラリアのターンブル首相は異色の反応を見せている。「どのような国でも国境を越えた難民の流入をコントロールできるべきだ」と一定の理解を示し、「トランプ米大統領の決定に関して論評することは自分の仕事ではない」と、トランプ大統領に対して遠慮がちな姿勢に終始している。

この裏側には、トランプ大統領が1月29日の電話会談でターンブル首相に与えた「言質」がある。オーストラリアが抱える密航者の一部を米国が受け入れるという昨年11月の2国間合意が継続されるという話だ。

この背景を語るうえで欠かせないのが、今、世界で物議を醸しているオーストラリア人女性が手掛けた告発ドキュメンタリーだ。タイトルは「Chasing Asylum(チェイシング・アサイラム=難民追跡)」。オスカー賞を受賞したエバ・オーナー監督が、オーストラリアの難民政策の闇を暴いた作品だ。

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