1月27日、トランプ米政権がイスラム圏7カ国からの一時入国を禁じる大統領令を出した。言うまでもなく、これはイスラム教徒への差別を助長しかねない措置だ。米国内だけでなく世界中で反発の声が上がり、混乱も広がっている。しかし、トランプ大統領は一向にひるむ気配はない。逆に反旗を翻した米司法長官代行を直ちに解任するなど、厳しい姿勢を見せている。
世界の多くの国々の強い反発を招きながらも、トランプ大統領をここまで突き動かしているものはいったい何なのか。はたして米国第一主義だけなのか。
作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、1月20日の大統領就任演説で引用された聖書の一節に注目する。この一節こそ、トランプ大統領の「イスラエル中心主義」が如実に映し出されているとみられるからだ。
イスラエル中心主義を宣言した
トランプ大統領は就任演説の中で、旧約聖書詩編の133編1節を引用し、次のように述べた。
The Bible tells us, “how good and pleasant it is when God’s people live together in unity.”(筆者による日本語翻訳)聖書は「神の民が団結して生きていることができたら、どれほどすばらしくうれしいことでしょうか」と私たちに伝えています。
これだけでは何のことなのかわかりにくい。重要な箇所なので、133編の全文を記したい。日本聖書協会の新共同訳では、以下のように訳されている。
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