暴走トランプ、「入国制限令」全米混乱の裏側 複数州の連邦地裁が大統領令を執行停止に
[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米ニューヨーク州ジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)で28日、国境警備局職員がイラク人2人を拘束したことを受けて、彼らの弁護士と2人の米民主党議員は、話をしようと保護区域を横切ろうとした。すると職員が彼らを押しとどめ、「下がれ、下がれ」と叫び、押し問答になった。
数分後、JFKの米税関・国境警備局(CBP)旅客担当責任者であるハイディ・ナッサー氏が呼ばれた。ニューヨーク州選出のジェロルド・ナドラー議員とニディア・ベラスケス議員(共に民主党)は、トランプ大統領が27日に署名した移民の入国を禁止する大統領令では、イラク人が弁護士と話すことも禁じているのかと詰め寄った。
ナッサー氏は、明確な答えを持たなかった。「他の皆と同様、われわれも暗やみのなかにいる」と同氏は述べた。
誰が入国でき、誰が入国できないのか
ロイターが目撃したこの激しいやりとりは、トランプ氏がイスラム圏7カ国の市民や難民の米国への入国を一時禁止するとの大統領令に署名したのを受け、全米や世界各国の空港で起きた混乱を象徴している。
この大統領令の実施をめぐり非難を浴びているトランプ政権は28日、外国グループによる攻撃の阻止を目的とするこうした安保対策を行う前に、広く政府機関や空港にその詳細を明かすのは「無謀」だと自らを擁護した。だが、この大統領令を継続的に実施するうえでの複雑性や、関連機関や航空会社に準備をさせる必要性を政府が十分に理解していないと、国土安全保障省や国務省の幹部らはロイターに指摘した。
政府職員と治安当局者は28日、誰が合法的に米国に入国でき、誰が入国できないのかを推測するほかなかった。