暴走トランプ、「入国制限令」全米混乱の裏側

複数州の連邦地裁が大統領令を執行停止に

だがニューヨーク州ブルックリンの連邦地裁が大統領令の効力を一部停止し、有効な査証(ビザ)を持つ人が一時的に滞在できる判断を示した。米国自由人権協会は、乗り継ぎ中に、あるいは米空港で拘束された、ビザや難民資格のある100─200人を支援するとしている。

このほか、カリフォルニア、マサチューセッツ、バージニア、ワシントン各州の連邦地裁が大統領令を執行停止にしたが、無効との判断はしていない。ただ、こうした判断が増えることで政権側の取り組みが困難になる可能性もある。

国務省は蚊帳の外

トランプ政権のある幹部は、米国を守るため、イラン、イラク、シリア、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7カ国の市民を対象とした入国禁止令はすぐに実施される必要があると強調した。

同幹部は記者団に対し、「われわれの移民政策と、米国内のテロ計画や過激派ネットワークには、とても強い結び付きがある」と説明。「これから行おうとするまさにその安全対策を全世界に放送するのは無謀であり、無責任だろう」と語った。同幹部はまた、国土安全保障省の主要人物には知らされていたことを明かしたが、詳細は差し控えた。

ビザや移民を扱う主な政府機関の1つである国務省では、同省職員2人によると、大半が移民に関する大統領令をメディアを通して知った。一部の事務所は大統領令が発せられると分かっていたが、ホワイトハウスから公式な連絡や相談はなかったという。「連携や話し合いがあったかと言えば、それは全くなかった」と、ある国務省幹部は匿名を条件に明かした。

移民政策は、連邦政府が行う政策のなかで最も複雑なものの1つであり、沿岸警備隊やCBPから国務省や司法省に至る7つの機関が関係している。国土安全保障省の幹部2人は28日、大統領令のドラフト作成に関与した人物から相談を受けていた関連機関の職員について、あるいはそうした職員を監督する議会の委員会や小委員会について、何も聞いていなかったと話した。「その結果が混乱と矛盾であるなら、責任はすべて1つの住所にある」と、同幹部の1人はホワイトハウスに言及した。この幹部も他と同様、トランプ氏の大統領令について匿名で語ることを要請した。

もう1人の幹部はロイターに対し、ホワイトハウスが「省の参加を限定して」大統領令に取り組んでいたとし、「それは困難が伴うが、何とか乗り切ったようだ」と述べた。

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