ドナルド・トランプ氏が米国の第45代大統領に就任した。
1月20日の就任演説は、拙著『トランプ政権でこうなる! 日本経済』で取り上げたような大統領選挙時のスタンスとあまり変わりなく、大衆迎合主義(ポピュリズム)的、国粋主義的なトーンが目立ったものの、相変わらず具体的に何をするのかが示されない内容だった。
期待を裏切らないという決意を固めている
ただ、演説から感じられたのは、トランプ新大統領が、現実的に政策の整合性があろうがなかろうが、とにかく自分に投票してくれた「白人中間層」の期待を裏切らないために、「選挙期間中に約束したことは何としてもやらねばならない」、という決意を固めているということだ。
これが、いわゆるポピュリズム政治の「宿命」であり「限界」といっていいだろう。今後、トランプ政権はイデオロギーとか公正さ、正義といった政治的理念よりも、大衆の意思を鑑みながら政治を動かしていかなくてはならない。
つまり、アメリカファースト(米国第一主義)、移民排斥、雇用創出、インフラ整備、保護貿易、軍備増強といった大衆が喜びそうな政策を続けていくしかない――。それがトランプ政権のすべてといっていいのかもしれない。
トランプ大統領は歴代大統領のように、大統領になったからには国際情勢や経済情勢への造詣を深めて、大局的見地から政治的にベストな選択をしていこうと努める、というキャラクターではない。
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