日本の命運を握るトランプ政権「貿易3人組」 貿易上最大の「敵国」は日本ではないが…

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トランプ政権における経済政策のキーパーソンとささやかれているエコノミストのピーター・ナヴァロ氏(写真:代表撮影/Abeca/アフロ)

ドナルド・トランプ大統領が現在考えている貿易・産業政策を理解したいなら、マーティ・マクフライと一緒にタイムマシン、デロリアンに飛び乗って、1985年の戻るだけでいい。その年に公開された伝説的な映画のタイトルが、すべてを言い表している。つまり、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』である。

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トランプ大統領と貿易政策担当として同氏に任命された主要な3人組は、ロナルド・レーガン元大統領時代に自らの考え方を確立した人たちだ。このとき、日本は「貿易戦争」における敵であり、まねるべき産業政策の手本だった。通貨価値の歪みを是正することを目指した1985年9月のプラザ合意から、反ダンピング提訴、輸出に関する「自主」規制、いわゆる管理された貿易取引への圧力的手段の積極的な使用に至るまで、トランプ大統領の貿易チームは、1980年代の政策モデルを頭に描いている。

「米国がもっと日本みたいだったら…」

トランプ大統領の貿易チームには、「(過去に)日本と交渉した体験がしみ付いている」と、レーガン政権時に貿易交渉の米国側責任者だった、クライド・プレストウィッツ氏は話す。同氏は、トランプ大統領の経済戦略チームの中に、何人か親しい関係者がいる。そのひとり、米通商代表部(USTR)に指名されたロバート・ライトハイザー氏は、かつて副通商代表を務めていたとき、米国の半導体産業を、日本との競合から守る役割を果たしたことで知られる。

「彼が副通商代表に任命されたとき、日本は米国にとって貿易問題の中心的存在だった」とプレストウィッツ氏は振り返る。同氏もまた、レーガン政権時、ライトハイザー氏とともに貿易交渉を担当。「私たちは日本と交渉しながら、米国がもっと日本みたいだったら、とつねに思っていた」。

ライトハイザー氏は、トランプ大統領と長い付き合いがある経済ナショナリスト3人組のひとりであり、彼らは貿易と製造業の重要性に関する明確な考えを共有している。この3人組のほかのメンバーは、カリフォルニア大学アーバイン校のエコノミストで、新設の国家通商会議(NTC)のトップに指名されたピーター・ナヴァロ氏と、米国の衰退した製造業を再生させて富を築いた投資家で、商務長官に指名された元銀行家のウィルバー・ロス氏だ。

貿易チームの政策の展望は、2016年9月29日に「Scoring the Trump Economic Plan: Trade, Regulatory, & Energy Policy Impacts(トランプ経済政策の成功法:貿易、規制、エネルギー政策の影響)」と題した文書によって明らかにされている。ナヴァロ氏とロス氏によって書かれたものだが、発表された際にはほとんど注目を集めることはなかった。

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