いずれにしても、日本はもはや「敵国リスト」のトップにはいない。ナヴァロ氏たちの意見では、その地位にいま君臨しているのはもっぱら中国で、不公平な貿易に関与する手段として、世界貿易機関に加わり、その協定を利用している。ナヴァロ氏は大統領選中、これによって7万以上の米国の工場が閉鎖に追い込まれた、と主張していた。中国は不法な輸出補助金、通貨操作、 知的財産窃盗、強制的な技術移転、保護主義的な非関税障壁といったおなじみの対抗手段を使っている、と。
「中国が巨大な労働力と技術を結び付けることができれば、米国とって、状況は非常に厳しくなる」と、ロス氏は2011年ごろ、米国のある雑誌に述べている。「どの業界においても賃金が削減され始めている。私たちは自分の生活水準を輸出して、自分の失業を輸入する危険性に瀕してしるのだ」。
中国に対して報復的関税を課す、あるいはメキシコの工場で作られた輸入品に関税をかける、というトランプ大統領の脅しに、多くの注目が集まっている。こうした対抗手段はきっと、貿易3人組が意図していることだろう。「実際に、1980年代に不公平な動きをした日本に、防衛的関税を課したのは、自由貿易を標榜するレーガン元大統領だった」とナヴァロ氏は、昨年の7月に話している。「トランプ大統領は不公平な動きをするあらゆる国に対して、同じことをするだろう」。
米企業も中国に対しては懐疑的?
しかし1980年代と異なり、米国は貿易戦争の相手国に圧力をかける手段として、安全保障同盟を利用することができない。「米国は中国に対して影響力を持っていない」とプレストウィッツ氏は話す。「中国はまともじゃない。日本は半分だけまともだったが」。
中国はまた、巨大な市場および製造拠点としての中国の役割に頼っている外国企業の支援も得ている。ただし、アジア貿易政策に影響力のあるネルソン・リポートの編集長、クリス・ネルソン氏によると、アップルのような米国の多国籍企業が、米政府から中国を守る姿勢は明らかに弱まっている。中国は不公平だとの認識や、相互依存性が低下しているとの見方が増えており、「(米企業が)中国で思うように稼げていないと考え始めている」。
中国に対して講じるべき最も効果的な対抗手段は、為替レートかもしれない。これはトランプ政権の財務省が、中国は「通貨の不正操作者」であると公言することを含んでいる。ナヴァロ氏とロス氏が共著した先の計画では、もし中国が通貨の不正操作をやめなければ、この手段により、「米国は防衛的で(為替操作に対する)対抗策となる関税をかけるとができる」と書いている。
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