注意!トランプは結束を呼びかけてはいない

就任演説の正しい読み方

好戦的な演説内容だった(写真:Reuters/Carlos Barria)

第45代米国大統領となったドナルド・トランプ氏。その注目の就任演説に秘められた思い、真意は何だったのか。その一挙手一投足、行間から何が読み取れるのか。「コミュ力」の観点から分析してみた。

このスピーチの注目点は2つあった。1つ目は、かつてないほどの低支持率の中で、彼に批判的な多くの国民に対しどう結束を呼びかけ、分断された国民の心を1つにしていくのかということ。そして、2つ目は警戒感を高める世界の国々とどう向き合い、どう折り合いをつけていくのかということだった。

好戦的で敵対的な「挑戦状」

結論から言えば、この演説は、彼から世界への、そして彼に反対する国民に対して「降伏」を求める、好戦的で敵対的な「挑戦状」であり、極めてトランプチックな所信表明であった。

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一部の新聞などで、「国民に融和と結束を呼びかけた」という見出しが見られたが、実際の演説の中では、決してそのような意図は見えてこない。彼は、we、our(私たち、私たちの)という言葉を繰り返し使ったが、これは全国民を意味するものではなかった。

「アメリカは皆さんの国だ」と語りかける瞬間に、眼前にいる支持者たちを指さし、「この国の忘れ去られた人々は、もう忘れ去られることはない」と訴えかける。その視線の先にあるものは、彼をこれまで支持してきた人々だ。人々の怒りとプライドに訴えかけることで、熱狂的支持をかき集めてきた、これまでの選挙活動時のスピーチとまったく同じトーンだ。

もしも、本当に国民全体の団結を訴えようとするならば、女性やイスラム教の人々、LGBT、移民などに対して、その不安を和らげる言葉があってもおかしくはないが、それは一言もない。代わりに「神の民が一体となって暮らすのは、すばらしく喜ばしいこと」という聖書の言葉を引用し、キリスト教の価値観や愛国主義の下への団結をうたい、そこに全国民が集い、従うべきなのだ、と説いているのだ。あくまで強圧的で、こちらから、反対派へ歩み寄り、融和をしようなどとはみじんも考えていないことがわかる。

その言葉の選び方も意図的だ。

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