注意!トランプは結束を呼びかけてはいない

就任演説の正しい読み方

ワシントンポスト紙は、トランプが、大統領の就任演説として初めて使った言葉として、以下のような言葉を挙げている。bleed(出血する)、 carnage(殺りく)、Islamic(イスラムの)、 ripped (引き裂かれた)、sad(悲しい) など、攻撃的で生々しい言葉が多い。

これまでの就任演説でも、前政権や現状を否定的に描き出し、変化を訴えるものは少なくなかった。レーガン大統領の就任演説でも、とうとうと現状の悲惨さをつづり、「政府が問題を解決できないだけでなく、政府こそが問題である」と糾弾した。これは、トランプの演説の中の政府批判と似通ったトーンだ。オバマも、最初の就任演説では、同様に危機的状況であることを切々と訴えた。

しかし、彼らが、トランプと決定的に異なるのは、そうした悲壮感を覆すかのように、全国民に対して「希望」を喚起しようとしたことだ。歴史をひもとき、先人たちの功績を褒めたたえ、アメリカの力をうたい上げ、その国民であることへの誇りと矜持を鼓舞し、行動を喚起する壮大で厳粛で格調高いものだった。

それに比べて、今回の演説は、国民全体に勇気と自信を与えようというよりは、反対派や外国を「仮想敵」と見なし、一部の支持者のみをエンパワーすることを目的としているかのような印象を受ける。結果として、「異常なほどbleak (寒々とした、荒涼とした)」(BBC)、「最もominous(不吉な、脅迫的な)」(ウォールストリートジャーナル紙)と評される演説となった。

環境問題や世界平和などへの言及なし

もう1つの焦点である「世界へのメッセージ」も大方の予想を裏切ることのない内容だった。

「私たちの商品を生産し、私たちの会社を盗み、私たちの仕事を破壊する他国の暴挙から国境を守らなければならない」「保護こそが偉大な繁栄と力につながる」とナショナリスティックで保護主義的な言葉に終始。「アメリカ」という言葉を34回も用い、ウォールストリートジャーナル紙によれば、58%の内容がナショナリスト視点のものであった。環境問題や世界平和などへの言及も一切なく、ただただ、アメリカの利益のみを訴え続けた。

それでは、ノンバーバル、つまりジェスチャーや声、振る舞いなどの、言葉以外のデリバリー(伝え方)はどうだったのか。

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