トランプ大統領の場合、長女イヴァンカ氏がユダヤ人富豪の息子のジャレッド・クシュナー氏と結婚し、キリスト教からユダヤ教に改宗した影響もあろう。イヴァンカ氏の3人の子ども、つまりトランプ氏にとってかわいい孫はユダヤ教徒となっている。
トランプ大統領は、ちょうど1月27日の国際ホロコースト記念日に、イスラム過激派の米国入国防止を大義名分にして、シリアからの避難民の受け入れ無期限停止やイスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令を発令した。しかし、ホワイトハウスが声明の中で、ホロコーストで600万人以上のユダヤ人が犠牲になった事実や、反ユダヤ主義について言及しなかったとして、共和党系の超保守的なユダヤロビー団体がホワイトハウスを批判している。米国内でのユダヤ社会の存在力は大きく、どんな政権でも決しておろそかにはできない。
トランプ大統領自身が信仰しているのは?
では、トランプ大統領が信じる宗教とはいったい何なのか。信仰が新大統領の政策に影響は与えていないのか。
トランプ大統領の宗教は、キリスト教プロテスタントのカルヴァン派の一派、長老派(プレスビテリアン)であることが知られている。トランプ大統領は幼い頃、生まれ育ったニューヨーク市クイーンズの長老教会に通っていた。そして、そこで1950年、13歳になったころに堅信礼を受けた。その後は、マンハッタン5番街にあるマーブル協同教会に毎週日曜日、約50年間も礼拝に行ったという。
長老派は、歴史的にはフランス出身の宗教改革者として知られるジャン・カルヴァン(1509-1564)による宗教改革の伝統を受け継ぐ。スイスからドイツ、オランダ、スコットランドなど欧州各地に広がり、やがて米国で大きく発展した。
長老派は聖書を唯一絶対の指針とし、「救われる者も滅びる者もあらかじめ神は定めている」という予定説を唱えている。神の言の宣布者である長老(役員)を選んで教会を運営させる代議制をとっていることから、長老派と呼ばれる。
日本では、米国の長老派教会宣教師として来日したヘボン式ローマ字の創始者ヘボンらによって、導入された。長老教会の影響の下に設立されたミッションスクールには、 明治学院や東北学院、フェリス女学院などがある。お隣の韓国の李明博前大統領も、熱心な長老派の信者として知られている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら