カナダは率先して日本、そして世界の国と自由貿易を促進し、これからもグローバルに向かいます。そのためにも毎年約25万〜30万人の移民を受け入れ、国内の多様性を強みにしているのです。トルドー首相が、"Canada has learned how to be strong not in spite of our differences, but because of them."(カナダは違いがあって「も」ではなく、違いがある「からこそ」強くあることを学んだ)と言っています。多様性を強みにしてグローバルに向かう、それがカナダのチャレンジです。
象徴的な例としてカナダの外務省は以前、"Foreign Affairs"「外とのかかわり」という意味の言葉を使っていましたが、今は、"Global Affairs"(グローバル連携省)という名称になりました。「Global=地球の」という言葉を使うことにより、地球の一員として考えていかなければならないという意識を示しているのです。
カナダというと天然資源、鉱業やガス、木材をイメージされると思います。もちろんそれもありますが、今、力を入れているのは「イノベーション」です。異なる文化/背景/経験をもっているからこそ、異なる考え方ができ、多様なアイデア、イノベーションが生まれます。そこでカナダの「多様性」が強みになるのです。
「新しいカナダ人」を迎え入れよう
――先ほど内閣に女性が5割もいるとおっしゃいましたが、それはいつ頃からですか?
カナダは1971年に世界で初めて多文化主義を国の政策として導入しました。それを行ったのが今のトルドー首相のお父さんなのです。
それからゆっくりと進んできましたが、トルドー首相が組閣でも目に見える形で実現させました。「なぜ女性を5割も登用したのですか?」という質問に"Because it’s 2015!"(2015年だからだよ!)と答えています。
――国のトップが思い切って舵をとることによって大きな変化をもたらすという、よい意味での実例ですね。しかし、多様性が自分たちの強みだというのは広く国民の皆さんが思っていることなのですか?
もちろん100%とはいいませんが、強みだと思っている人が多いと思います。たとえばカナダでは多くの移民・難民を受け入れていますが、昨年だけでも4万人の難民を受け入れました。
2015年11月24日に首相が今後3カ月のうちに2万5000人のシリア難民を受け入れる計画を発表したときのことです。通常は政府主導で大きな都市で受け入れを行うことが多いです。ところがカナダでは地方の人たちも立ち上がり、地域のコミュニティで募金を行い、自分たちの街に来てもらおうという運動が至る所で行われたのです。
私の友人たちのフェイスブックでも「シリア難民のスポンサーになるミーティングに参加して!」という呼びかけがいくつもありました。「シリアから来た新しいカナダ人」を迎え入れようという人々の意志が強く感じられました。
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