戦略的に移民を受け入れる「カナダの流儀」 そこにはブレない「多様性」がある

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カナダの国土は広いのですが、人口が少ないので、外に向けてマーケットを広げていかなければなりません。カナダでビジネスをすれば、アメリカとのビジネスにも広げることができますし、ヨーロッパとも協定を結んでいるので、ビジネスを世界中に広げることができます。

また、カナダの大学やカレッジといった高等教育機関を修了・卒業した留学生は、最長3年、その後カナダに残って働くことができます。連邦制のため、州によって雇用の条件などはさまざまですが、カナダの教育を受けた優秀な人材は人種に関係なくできるだけ残ってほしいと思っているのです。

――それだけ優秀な人材がいると期待されているのですね。

カナダでは若手社員であったとしても意見を求められます。何も意見を言わず、静かにしていると「何を考えているのだろう」と不思議に思われるでしょうね。「多様性」を認めるなかに「年齢」というのも入っているので、若いから考えが浅いだろうというような発想はありません。最終決定をするのはトップの人ですが、みんなの意見を聞く雰囲気があります。

――若くてもちゃんと意見を持って伝えられないといけないということですね。

カナダでは意見をきちんと伝えることを大事にしていると思います。たとえば小さい頃からディベートなどをして、自分の意見を伝え、周りからフィードバックをもらってみんなで評価するということがよくクラスの中で行われます。違う意見を持っている人とは妥協点がないか考え、もし意見が反対のまま終わったとしても嫌な気持ちは持ちません。

3カ国語以上を話す人がたくさん

――小さいうちからさまざまな意見を受け入れる環境にあるので、大人になってビジネスをするようになっても、多様性がある環境や違い意見を受け入れることができやすいのですね。

そうなのです。カナダでは「違う」ことが当たり前です。たとえばトロントに住む人の5割はカナダで生まれた人ではありません。150もの言語が話されているので、街を歩くとさまざまな言語が聞こえてきます。その環境が普通なのです。

カナダの人は英語とフランス語に加えて自分のルーツの言語など3カ国語以上を話す人がたくさんいます。外では英語を話していても、家族の中では違う言語ということも多いので、土曜日には中国語、アラブ語、ウクライナ語などそれぞれの国のクラスがあって、子どもたちは自分のルーツの言葉を習いに行っています。

――ルーツをきっと大切にしているのですね。

はい。しかし、カナダであまり聞かないことは"Where are you from?"(出身はどちらですか?)という質問かもしれませんね。見た目はいろいろな国の人がいるので、思わず聞いてしまいそうになりますが、もう何世代も前にカナダに来た人もいますし、カナダに来ればカナダ人なので、そういう質問はあまりしません。

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