三陸フィッシャーマンズ・プロジェクトの第1弾商品、ということで、メディアや関係者を急きょ集めて、お披露目会見を開くことになった。企画が決まってから会見までは、わずか1週間。またしても、ヤフーの広報・安田真奈に怒られながら、記者の方々をかき集めてもらった。
会見では、副社長・川邊健太郎やオイシックスの高島社長に「三陸フィッシャーマンズ・プロジェクト」とデカプリホについてプレゼンしてもらい、その後、メディアの方々には、実際にデカプリホや東北の海産物を使った複数のレシピを試食してもらった。会見場は大きなキッチンを持つカフェ・カンパニーの本社で、出来立てをメディアの方々に味わってもらえるようにした。
会見の成果は上々だった。その日の夜には、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」にも紹介された。十数個のホタテを詰め合わせた3980円のデカプリホは、300個弱とそれなりの数を用意していたのだが、発表会の後、ほぼ3日で完売した。
会見10分前の「じぇじぇ!」な事件
こう言うと、華々しくスタートを切っただけに見えるだろうが……。実はあの日、発表会のバックヤードは大変な事態に陥っていた。
「記者発表いきます! あと10分です!」という段階で、突然、石巻から東京まで来ていただいていた一部の生産者の方々が、会場から出て行ってしまったのだ。今風に言えば(?)「じぇじぇ!」という状況だった。
「うちのホタテは、日本でいちばんうまいと誇りをもってやっている。それなのに、ほかの浜と同じくくりで、勝手に紹介されるのは困る。同じ浜の仲間に申し訳が立たない」
というのが、その生産者の方々が帰ってしまった理由だった。
「デカプリホ」については事前にかなり気を使って説明をし、地域の生産者に対して仁義は通したつもりだったのだが……(担当者は後日、あらためて生産者の方にお詫びに行くことになった)。
とはいえ、その場では感慨にふける時間もなかった。発表会まであと10分という状況だ。
「東の食の会」に急きょ調整をお願いし、さらに、帰ってしまった生産者の方々のバナーも画像も文言も削除して差し替えるよう、Yahoo!ショッピングのページ担当者に電話した。発表会で配布する報道資料も、みんなで手分けして、関連ページを1枚1枚全部抜いていった。現場はすさまじい状況だった。
今、振り返ると、よく乗り切れたなとしみじみ思う。
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