米国の若者の間で、フェイスブックをしのぐほどの人気があるマイクロブログサイトがあることをご存じだろうか。それが最近、ヤフーによる巨額買収で話題になったTumblr(タンブラー)。創設したデヴィッド・カープは、今のとても若い世代とはこういう風な考え方をするのだろう、ということを具現化している人物でもある。
住まいは、ニューヨーク。それも今、最もヒップな場所として知られるブルックリンのウィリアムズバーグだ。シェフのガールフレンドと一緒に暮らすロフトは、170平方メートルほどの大きさ。アメリカの住まいとしては、非常に控えめなサイズだ。
また、これを彼の資産と比べると、驚くばかりである。このロフトをカープが購入した際の値段は160万ドルなのだが、彼自身の資産は当時でも2億ドル以上。インターネット企業を創設したネット富豪としては、何とつつましいことだろうか。
美しく、情報過多でない
まだある。彼は何とこのロフトにほとんどモノを置いていないそうである。アメリカでは金持ちになれば、ここはベルサイユ宮殿かと見まがうような御殿か、はたまた今風ならば、有名な建築家に設計してもらった超モダンな住宅などに、とんでもない額のカネをかけて調度品を整えて住まうのが普通なのだが、カープはほとんど所持品がなく、戸棚もガラガラ。目立つのはプロ仕様のキッチンだけだという。
「本も持っていない。そんなに服も持っていない。だいたい、みんなどうしてそんなにモノで家をあふれかえさせるのかが、不思議なんだよね」と、カープはあるインタビューで語っている。彼の友人は、「所持品は3つだな」と証言しているようだ。いつも、モノなしで済ませることを考えているらしい。
そのカープは、これからもっと富豪になる。タンブラーをヤフーが買収したからだ。買収額は何と11億ドル。ヤフーCEOのあのマリッサ・メイヤーが「どうしても」と、この額での買収を決めたのは、タンブラーを利用する10代、20代の若い世代を取り込みたかったからだ。
タンブラーはカープ自身の具現化であり、その意味では1億1080万件のブログをここに上げるユーザーたちは、カープが作り出す世界に住みたくてやってきた人々だ。彼のあり方自体が、若者にとっての指針なのである。
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