米国の新聞メディアを苦境に陥れた男 そして、広告主はいなくなった

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新聞ビジネスを苦境に陥れた男の目的とは?写真左がクレッグス・ニューマーク。
(写真:Getty Images)

アメリカで、新聞メディアを苦境に陥れた元凶――。そう言われているのが、クレッグ・ニューマーク。アメリカでは1995年から知られている名前だ。1995年に彼の名前を冠した「クレッグズ・リスト」が生まれ、人々がそれに飛び付き、そしてその後、クレッグズ・リストによって新聞ビジネスが衰退したとされている。

しかし、ニューマークはインターネットの「良心」ともされる存在で、多くのテクノロジー関係者の尊敬を集めている。元凶が尊敬を集めるとは妙なことだが、それこそがテクノロジーを最も民主的にし、そして少数の企業に独占されてきたメディアを解放したということを意味するものでもあるのだ。

ちょっと説明しよう。クレッグズ・リストは、モノを売りたい人と買いたい人が出会うサイトである。

モノの売り買いは、いらなくなった家具や車などの持ち物から、売り家、貸家などの情報までいろいろ。子供たちが成長して不要になった子供服とか、買い替えたのでいらなくなったコンピュータとか、だいたい安くモノを手に入れたいと思ったら、まず地元のクレッグズ・リストのサイトをのぞいてみるのが、アメリカ人の習慣になっているほどだ。格安で手に入るものが大半で、中には「無料で差し上げますので、取りにきてください」というケースも少なからずある。

恋人募集から、ペット探しまで

モノだけでなく、人の出会いもここで生まれる。異性の相手を探す男女、同性のデート相手を求める男女が、それぞれ自分で募集をかけたり、また「プラトニックな関係望む」と呼びかけたりする欄もある。ユニークなのは、「出会い損ねたあの人」という欄。「町のカフェで隣り合ってちょっと言葉を交わしただけだけれど、もっと知り合いたかった」などと後になって後悔する人が、ここにそんなことをつづって再会を果たそうとする。読むだけで、ロマンチックな映画を見ているような気にさせるコーナーだ。

それ以外にも、職を求めている人、職場で人を求めている人、ペットを探している人などもここに知らせを出す。また、趣味を同じくする人々のコミュニティやディスカッション・フォーラム、イベントの告知もあり、このサイトを見ているだけで、町の人々の生きている様子が感じられるのだ。

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