米国の新聞メディアを苦境に陥れた男

そして、広告主はいなくなった

彼が1993年に移り住んだ頃、サンフランシスコは初期のインターネット時代のスピリットがあふれている場所だった。それは、テクノロジーやインターネットによって人々が互いに助け合い、自由になるというもので、そしてまたそのようにテクノロジーは使われなくてはならないと、皆が活動していたのだ。

ニューマークはそんな中で、テクノロジー関係の知り合いの間で回覧されるメーリング・リストを始める。それがクレッグズ・リストに成長した。

その後、ドットコム・バブルやその後のソーシャルネットワークの興隆が起きたが、ニューマークとクレッグズ・リストは、今でもその当時のスピリットを保ち続けている。クレッグズ・リストのサイトを見ると、そぎ落とされた飾り気のなさに驚くだろう。儲け主義もない。そして、そのサイトに集まっている人々は実に雑多な老若男女で、彼らが何の区別も差別もなく、ここで共存しているのだ。

良心はなくならない

現在、ニューマークはクレッグズ・リストの経営の中心からは離れ、ごく一部の顧客サービスを行っているだけだ。それでも、彼がここに構築した「インターネット・コミューン」とも称されるコミュニティのあり方は、うるさいことは言わず、人々を自由にさせ、それでいて緩く取りまとめながら全体をひとつの世界に作り上げていくという、理想的な方法論だった。

ニューマークは今、クレッグコネクトという組織を作って、オープンなインターネットや正しいジャーナリズムをサポートするための活動を行っている。テクノロジーを多くの人々が益するようなかたちで使われることにも、依然として関心を傾けている。

シリコンバレーやテクノロジーの世界では、無数の金儲け主義の動きがあるが、その一方で、ニューマークのように「良心」を持ち続ける人々の伝統もある。それが、多くの人々にとって、灯台のように進むべき指針を与えているのは間違いない。

 

 

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