彼は「浜人(はまんと)」という、漁師のおじいちゃんとお父ちゃん、それをサポートするおばあちゃん、お母ちゃん……という昔ながらの5つの漁師さん家族による漁業生産組合の営業責任者をしている。
通常、漁師とはそれぞれ個人事業主で一匹狼が多い。しかし震災後に、多くの漁師の船が流され、加工場が壊滅状態になるなど多大な損害を被った。そのため、補助金や助成金を得て、人的リソースや船を共有し、新たな販路を模索するために、仲間と共に株式会社や任意生産団体を作っているケースが増えていた。
「浜人」は養殖施設全壊、漁船9割流出、加工場9割全壊、さらに住宅9割全壊というすさまじい痛手を被った。しかしながら、漁業権やノウハウを生かし、力を合わせて頑張っていた。
熱い志と行動力を持つ若い漁師の存在は、すごく新鮮で刺激的だった。彼を見ていて、ますます漁業に携わりたいという思いが固まっていった。
そこで「何をやろうか」というより、「地元の若い漁師たちにかかわれることは何だろうか」という具合に企画を練っていった。
そうした中で、目玉となる商品の企画として思い浮かんだのが、ホタテだ。
商品名は、デカプリホ!?
ホタテといえば、北海道や青森などを思い浮かべる人が多いだろう。実際、ホタテの水揚げ量はこの2県が圧倒的だ。
三陸でもホタテ漁師はいるが、北海道などと比べれば知名度が低い。しかし、三陸のホタテに、僕らはきらりと光る可能性を感じた。規格を明確にし、三陸のホタテの知名度を上げるためにインパクトのあるプロモーションを行うことにこそ意義があるに違いないと思い、僕らはホタテを、プロジェクトの第1弾として押すことにした。
商品名は、デカくてプリッとした特大ホタテであることから、「デカプリホ」に決めた。
この強烈なネーミングは、オイシックスによるものだ。オイシックスは、コリッと生で食べるかぼちゃに「かぼっコリー」と名付け、大ヒット商品にするなど、突き抜けたネーミングセンスを持っている。また、今まで注目されなかった地域の生産物をプロモーションする技にも長けている。
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