はま寿司ラーメン、「2カ月で100万食」の裏側 専門店顔負けの味はどう生み出されたのか

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春はハマグリを使ったラーメンを提供

その後も季節のフェアのたびにラーメンを提供し続けた。春はハマグリを使ったラーメン。セントラルキッチンで大量のハマグリを煮込んで各店に配送した。

スープは365日毎日各店に配送し、なるべくフレッシュなものを提供できるように気を配った。麺は今までに4回変わった。ラーメンによって麺を変える手間はかけられないので、どんなスープにも合う麺を開発する必要があった。

そこでたどり着いたのが「低加水の細麺」だ。ラーメン界のトレンドをしっかり押さえていて、ザクッとした歯ごたえも楽しい麺。魚介系にはもちろん合うのだが、これをみそラーメンにも合わせてきたのが驚きだった。意外と合うのだ。

値付けもたいへん苦労したという。初めはみそ汁と同じお椀で提供し、280円だった。その後、本格的なラーメンに移行するタイミングで専用の器に替え、スープ・麺にもさらにこだわり、380円に値上げする。今はそこから30円の値下げ努力によって、350円で提供している(価格はいずれも税抜き)。販売促進課の木谷佳央氏は語る。

「平日は1皿90円、休日は100円でおすしを出していますので、そことのバランスはかなり考えました。こだわりのラーメンをこの値段で!というインパクトは残しながら設定していきました」

「うまい」は通ずる

最大のヒットは前述した「コク旨煮干しラーメン」だ。三熊氏は語る。

「都心のニボニボブームがどこまでいけるのか、正直出だしは不安でした。でも、これが地方でも売れたんです。ここから“関東で流行っているものを地方にも広めよう”という思いが強くなりました。「うまい」は通ずるんです」

かといって、「はま寿司」のラーメンが今後も快進撃を続けるとは限らない。競合のスシローや無添くら寿司などの大手チェーンもラーメンをはじめとするサイドメニューには力を入れている。ライバルは回転ずしチェーンだけでなく、ファミレスやファストフードなども入り乱れた戦いとなる。移りゆく消費者の嗜好やトレンドを読み解き、味を落とさず、一層高めていくというたゆまぬ努力が欠かせない。

売れ行きに地域差は意外と少ないという。北海道だからみそ、九州だから豚骨、というこだわりはなく、おいしいものはしっかり売れていくのがラーメンの特徴だ。ラーメンがあるから「はま寿司」に行こうという選択肢が生まれたのはたいへん大きく、今後もラーメン業界の流行にアンテナを張り続けるという。夏に向けて冷たい麺も開発中だという。

井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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