梅原大吾「勝ち続けるプロゲーマー」が誓う掟 すべてのきっかけと動機は「人」だった
その大会でのプレーと、優勝という結果を見ていた、MADCATZ(マッドキャッツ)というビデオゲームコントローラーなどを手がける米国のメーカーが、「とことん打ち込められる環境を提供しよう」と言ってくれて……。
あまりに急な展開だったし、ほんのちょっとのつもりでしたから、最初は何度も断っていました。ところが、今マネジメントをしてくれているCooperstown Entertainment (クーパーズタウン・エンターテインメント)という会社の方から熱いメッセージをいただいたこともあって、もう一度プロゲーマーに「なる人生と、ならない人生」を考えたんです。
「やって失敗したとき、自分は嫌なのか?」「うまくいったら嬉しい」。
どんな人生もうまくいく保証はない。頭の中にモヤモヤが残る人生は、ガキのころに十分味わった。だったらチャレンジしようと。それでプロゲーマーとしてスポンサー契約を結ばせていただいて、ゲームの世界に再び、今度はプロとして戻ってきたんです。
可能性を活かせる社会にするための新たな挑戦
――周りの熱意に推され、決断を。
結局、ぼくのすべての動機ときっかけは「人」でした。対戦の様子をまわりで眺めて喜んでくれたゲームセンターの友人たちもそうですし、ストリートファイターの新作に誘ってくれた友人もそう。彼の言葉がなかったら、再びコントローラーを握ることもなかったと思います。動画を見て応援してくれる人、 レッドブル、Twitch (ツイッチ)、HyperX(ハイパーエックス)などのスポンサーや、熱い言葉で後押ししてくれ、今はマネジメントしてくれているCooperstownなど、社会的な道を開いてくれた人たち。
今まで、いろいろな方がサポートしてくれたおかげで今のぼくがいる。まだまだやりたいことはたくさんあるから、「もう何にもいりません」とは言わないけど、少なくとも「自分だけ」はもうお腹いっぱい。
――一人勝ちはしない。
自分ひとりだけがいい思いをするのはぼくの性に合わない。自分がたまたま、プロゲーマーという道を用意してもらったから、こうやってお話ししたり、『勝負論 ウメハラの流儀』(小学館新書)や『1日ひとつだけ強くなる』(KADOKAWA/中経出版)として、書籍でもメッセージを届けたりすることもできているわけです。なので、多くの人に活かされてきた自分の役割もまた、「人を活かす」ことだと思っています。
「勉強ができる、足が速い」以外にも、世の中にはもっとたくさんの価値観があるんじゃないか。「今」という時間軸だけで、自分の特技を社会に活かすことを諦める必要は無いんじゃないか。そうしたメッセージを、プレーや講演活動などを通して発信することが、プロゲーマーである自分の、「今」一番の感心ごとであり、戦いであり、進み続ける原動力になっています。
(インタビュー・文/沖中幸太郎)
アルファポリスビジネスの関連記事
自分の意図が、部下に全く伝わらない場合の対処法とは?
大來尚順 訳せない日本語 日本人の言葉と心「敷居が高い」
いかにして「唯一無二の妥協なき靴づくり」は支持されていったのか
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら