――情報開示を評価していると言いながら何ですが(笑)、付加保険料率は20~30%ぐらい。「1万円を保険専用ATMに入れると、手数料が2000~3000円落ちる」と想像すると、結構ひどいようにも感じます。
僕らが扱っている商品でいうと、たとえば定期死亡保険や就業不能保険は特に大きなレバレッジが効く商品です。つまり保険料に対して保険金の額が大きいので、ある程度の運営手数料がかかってもよいのではと思っています。
商品数を徹底的に絞ってコストを下げる、という考えもあります。「医療保険」については、ある程度の貯蓄があれば必ずしも保障が必要でない方もいるため、開業当時も提供するかどうかを迷ったのですが、一方でお客様からは非常に大きなニーズがある。自分たちが考える正しさと、お客様のニーズ、そのバランスだと思っています。
先日、今、急成長中のアパレル会社の社長さんから、「ほとんどの人が買わないフルオーガニック素材9800円のTシャツを作るより、ハーフオーガニックで3980円のものを売ったほうがいい」と聞きました。ハーフだから理念という点では曇りもあるわけです。でもコストを抑えて100倍、1000倍の人に届けられたほうが社会へのインパクトはある。ライフネット生命も理念とインパクトのバランスを考えて、今後も商品やサービスを提供していきたいと考えています。
――付加保険料率の適正水準は、どのぐらいと考えていますか。1ケタに抑えられればいいのではないか、と思っているのですが。
一概には言えないと考えています。1割を切れるぐらいの規模になるといいのですが、一方で、お客様に気づきを与えるという点で一定のコストがかかることも事実です。
「保険は難しい」をホントに終わらせられる?
――岩瀬さんの『ネットで生保を売ろう!』を読み返したら、「『保険は難しい』を終わらせたい」という言葉がありました。ただ、開業当初は商品もシンプルでしたけど、だんだん特約も増えて、就業不能保険みたいに認知度が低い商品だと代理店展開も大事……という流れを見ると、「保険はやっぱり難しい」と言われやすい状況じゃないかと思っています。
就業不能保険のときに痛感したことですが、商品とチャネルの両方ともが新しいものだとお客様に認知いただき、購入いただくには時間やコストがとてもかかります。お客様が見慣れていて世の中に広く普及している商品であれば、新しいチャネルでも買ってもらえますが、商品もチャネルも新しい場合には、とても難しい。
そのため、就業不能保険については世の中で評価されている代理店チャネルを経由してお客様に提供してもらうのがいいと考え、現在、パートナー企業と一緒にチャレンジしているところです。「保険は難しい」を終わらせるという考えはまったく変わっていません。
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