日本には「副業」が普及する確かな土壌がある シェアリングエコノミーで日本は変わるか

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シェアリングエコノミーがもつ可能性(写真:bee / PIXTA)
個人の遊休資産などの交換・共有によって成り立つ経済、シェアリングエコノミーが欧米を中心に急速に拡大している。市場規模は日本でも2025年に10兆円を超えると推計されるほどだ。『シェアリングエコノミー』を書いた米ニューヨーク大学スターン・スクールのアルン・スンドララジャン教授にその可能性についてに聞いた。

これからは大衆のネットワークが力を持つ

──シェアリングエコノミー自体はそれほど目新しいものではない、と述べていますね。

企業が経済の中心にあった時代は人類の歴史から見ればごく短期間だ。企業という概念が存在しない時代、取引・商売・雇用の形態は個人の信用に基づいていた。シェアリングエコノミーは人々の経済にかかわる活動を、そうした昔の姿に戻しているにすぎない。

実際に、20世紀初頭の米国では賃金労働者のほぼ半数が自営業者だったが、1960年には15%未満にまで減っている。これは個人経営が多かった農業から別の職業に転じる動きが広がったことに加え、大企業が米国の経済を支配することになったという要因が大きい。

しかし今はテクノロジーの進化によって、商業価値の源泉が再び企業から一般大衆、クラウドへ移行している。そのため私はシェアリングエコノミーが生み出す現象を「クラウドベース資本主義」と呼んでいる。これからは大企業のような中央集権的組織よりも、大衆のネットワークが力を持つ。およそ100年を経て、クラウドベース資本主義が個人の信用に基づく経済活動の世界を構築している。

──ライドシェア(相乗り)サービスを提供する米ウーバー・テクノロジーズの企業価値が米ゼネラル・モーターズを抜くなど、シェアリングエコノミー企業はものすごいスピードで成長しています。

新しい資本主義を形作っている若い企業は高い成長力が見込まれており、投資家から多額の資金を集めている。10~15年の間にベンチャーキャピタルから投じられた資金額のトップは、86.1億ドルを集めたウーバーだ。同社は客を乗せる用意のあるドライバーと車で送ってもらいたい利用者を結び付けるプラットフォームを提供している。2位は中国のライドシェア企業、滴滴出行(ディディチューシン)で44.4億ドル。3位は民泊サービスを手掛ける米国のエアビーアンドビー(Airbnb)で23.9億ドルだった。

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