日本には「副業」が普及する確かな土壌がある シェアリングエコノミーで日本は変わるか

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Arun Sundararajan(アルン・スンドララジャン)/1971年生まれ。インド工科大学卒業。98年から現職。専門はビジネス論。シェアリングエコノミー研究の第一人者。米ニューヨーク・タイムズや米『ハーバード・ビジネス・レビュー』など、多くのメディアに論説やコメントを掲載している。本書は長年にわたる研究調査に基づく初の著書に当たる(写真:スンドララジャン氏提供)

こうした企業は、「職を得る」という概念を大きく変えようとしている。米国ではウーバーやエアビーアンドビーなどの利用によって、すでに3人に1人が副業で収入を得ている。向こう20年間でこの動きは加速していくだろう。

副業が当たり前になるとどうなるか。まずキャリアの描き方が変わる。会社のために働いたり、出世のために働いたりということがなくなる。いい会社に入るためにいい教育を受ける必要がある、という考え方も根本的に変わるはずだ。

たとえば駆け出しの舞台俳優が仕事の合間にオンデマンド労働で生活費を稼ごうと思えば、ウーバーを使って乗客の送迎がすぐにできる。ウーバーはドライバーが車両を購入する際に融資することで、小規模な起業家を何千人も生み出してもいる。ほかにも、アクセサリー作りが好きな会計士がハンドメード商品のマーケットプレースであるエッツィー(Etsy)を使って店を構えることができる。

新しい産業と既存産業の衝突

──しかし世界でタクシー運転手によるデモが起きるなど、雇用をめぐる問題も表面化しています。

新しい産業が生まれるとき、既存の産業と衝突が起きるのは珍しくない。特にシェアリングエコノミーは検索エンジンやソーシャルメディアのような新しい概念ではないため、顧客を奪われる側から反発が生じることは驚きではない。

とはいえ利便性の観点から見れば、今後タクシー業界は劇的に縮小していくだろう。ホテル業界も地位を脅かされている。世界最大のホテルチェーンは米マリオットだが、短期の宿泊回数では2017年中にエアビーアンドビーが追い抜くとみられる。マリオットが現在110万部屋を有しているのに対し、エアビーアンドビーは宿泊施設の登録が300万以上あると見られる。まさに大衆によるネットワークの力であり、こうした動きは止められない。

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