副業で月20万円を稼ぐ法務エリートの本音

個人も社会も求める会社公認の柔軟な働き方

生涯一企業に勤め上げる単線型キャリアの時代は終わった。2つ以上の肩書きを使い分け、パラレルにキャリアを磨くハイパー副業人が出現している(撮影:梅谷 秀司)

埼玉県在住の小林洋光さん(42)は、食品宅配大手オイシックスで法務部長を務めている。ビジネス上の契約から人事・労務まで支える法務のプロは、あらゆるトラブルから企業を守る番人。重責を負い多忙なこの仕事の傍ら、小林さんはベンチャー4社の取締役や顧問も務めている。主に平日の退勤後や週末の時間を使って、林業振興のトビムシや大型リチウムイオン電池製造のエリーパワーといった企業の活動を法務面から支えているのだ。

それぞれの企業で設立に関わった、または経営幹部として勤めた経緯があり、各社の事業内容や経営理念に賛同していることから、現在も各社に関与している。無報酬で受けている仕事もあるが、これら4社から得る収入は月に合計約20万円に上る。

多様な働き方が創造的な発想をもたらす

オイシックスには今年転職。小林さんは採用面接の際にあらかじめ、「ベンチャーでの仕事は私にとってとても大事なもの。オイシックスに入っても続けたい」と表明した。会社側も「本人の成長やパフォーマンスが上がり、会社の成長につながる兼業は推奨している」と理解を示した。

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今年1月まで法務部長を務めていたレノボ・ジャパンでも同様に、副業が認められていた。小林さんの実感では、「副業のような多様な働き方が常識にとらわれない創造的な発想を社員と職場にもたらすことに、一部の企業も気づき始めている」という。

小林さん自身、副業で培った人脈やベンチャー経営ならではの攻める法務の考え方が、本業でも折々役立っていると感じている。小林さんにとって副業は、生きがいをもたらすライフワークというだけではない。生涯における稼ぐ力を高く保つためのキャリア戦略でもあるのだ。

小林さんは神戸大学卒業後に渡米。環境政策を学ぶとともに、ロースクールで弁護士資格を取得した。帰国後に財閥系企業で企業法務のイロハを身に着けた後、国内外の合計6社で経歴に磨きをかけた。法務と英語という2つの武器は、どの職場でも高く評価された。それでも将来のキャリアには、強い危機感がある。「これまでは法務と英語の掛け算で重宝されたが、今後もそうだとは限らない」。

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