副業で月20万円を稼ぐ法務エリートの本音

個人も社会も求める会社公認の柔軟な働き方

勤め先では副業が認められており(申請は必要)、民泊ビジネスを手掛けている人や、ソフトやシステムの開発プロジェクトを請け負っている人などが社内にいるという。川上さんがしているのは、「スポットコンサル」と呼ばれる短時間のアドバイザリー業務。助言を求める企業と知見のある個人をインターネット経由でマッチングするベンチャー企業・ビザスクに登録している。

スポットコンサルは1時間程度の面談が主で、有償とはいっても1回当たりの報酬は1万5000円程度。川上さんの副業目的は収入ではなく、「世間一般では僕のどういった経験が注目を集めるのか、能力がどの程度評価されるのか、ある種の腕試しのような感覚でやっている」のだという。

本業には非常に満足しており、当面は転職する考えはないが、「だからといって何歳で部長になりたい、同期よりも早く出世したいという意識は皆無。僕にとってのキャリアの指標は社内的なポストではなく、事業や人をきちんと目利きし、ビジネスを創造する能力が身についたかどうか」。そのためにはスキルと経験の「相場感」が重要であり、それを得るための副業なのだ。

ビザスクは川上さんのような登録者を約2万人抱えており、彼らへの助言要請は大手企業からも零細企業からも増える一途だという。技術開発やビジネス立ち上げに関わる相談だけでなく、「大企業の総務担当者に、本社移転の経験について話を聞きたい」など間接業務に関するリクエストもある。

社外の知恵を借りたいという企業も増加

ビザスクの端羽英子社長は「社員が社外で営利活動をすることに寛容な企業はまだ少数派だが、社外の知恵を借りたいという企業は明らかに増えている。これまで個々の企業が抱え込んできた知見が社外で活用されるようになれば、社会全体のイノベーションのコストが下がる」と語る。

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実際に社会全体で副業を後押しする上では、未整備な面が多いのは事実だ。副業に熱心に取り組んでいる社員が健康を害しないために、企業はどこまで安全配慮義務を果たせばいいのか。また、複数の仕事を掛け持ちする人がどの職場においても正規雇用の従業員ではなかった場合、企業による年金や保険のセーフティネットからこぼれ落ちてしまう恐れがある。副業を容認する企業の動機が「わが社にしっかり貢献したうえで、食い扶持は自分で確保しろ」という無責任なものになるリスクもある。

『「就活」と日本社会』などキャリアに関する著書が多い常見陽平・千葉商科大学専任講師は、「自由な働き方は、容易に自由な『働かせ方』にすり替わる」と指摘する。個人と社会が副業を求めている今、まずは副業のリアルをつまびらかにする必要がある。

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