副業で月20万円を稼ぐ法務エリートの本音 個人も社会も求める会社公認の柔軟な働き方
英語圏の企業では、インドの弁護士にテレワークで業務を外注する動きが広がっている。人工知能にパラリーガル(弁護士業務をサポートする専門職)の作業を代替させる試みも始まっている。「今のスキルがもたらすポジションに安住していては、10年後には『あなたは何ができるのか』という問いに答えられなくなる」
急速にスキルが陳腐化し、人材の市場価値が激変する時代。「高度経済成長期のように全員が同じ一点を目指して走っても、価値は生まれない。副業で得たものを本業にフィードバックするほうが、結果として企業と社会に新しいものをもたらせる」と小林さんは考えている。
9月下旬、政府による働き方改革の議論が本格的にスタートした。非正規労働者の処遇改善や長時間労働の是正などとともに、論点のひとつに盛り込まれたのが副業・兼業による柔軟な働き方だ。
週刊東洋経済は10月24日発売号で『副業のススメ ふたつの仕事でキャリアを磨け』を特集。副業は日本ではこれまで、補助的収入の獲得手段、ありていに言えば小遣い稼ぎのためにするイメージが強かった。本業で大きなキャリアアップが望めない人がやるもので、ポストや給与の上昇余地がある人は副業する暇があるなら本業に邁進すべき――というのが多くのビジネスパーソンの考えるところだった。
この副業を今政府が後押しするのは、少子化で生産年齢人口が減っても経済の活力を維持するために、個々の労働者に少しでも高い生産性を発揮させたいという狙いがある。
企業の中にも今年「副業解禁」を宣言したロート製薬のように、社員のイノベーション精神を刺激し、新しい成長事業を見出す手段のひとつとして副業を位置付ける企業も出現している。
働く人の間でも、小林さんのような従来のイメージにとらわれない副業に取り組む人が現れている。週刊東洋経済が9月28日~10月10日に副業に関するアンケート調査を実施(インターネット経由、回答者数704人)したところ、日本のビジネスパーソンが実に多様な副業に取り組み、報酬以外にもさまざまなメリットを見出している実態が浮き彫りになった。
マクロでみると副業を持つ人の数は234万人(2012年の就業構造基本調査)にとどまり決して多数派ではないが、ミクロでは確実に意識変化が起こっている。
腕試しとしての副業
「モバイル・インターネットの業界では、個人が重要という価値観がある。副業についても本業との利益相反がない限り、『なぜやるのか』の説明を求められることすら違和感があるぐらい、個々のキャリアプランが尊重されている」。東京都内のある著名IT企業の経営企画部門で働く川上省吾さん(30、仮名)はそう話す。勤務先は近年、就職人気ランキングの上位に浮上しており、東大・早慶の学生にとっても狭き門だ。川上さんもこれらの大学の1校を卒業している。
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