日本には「副業」が普及する確かな土壌がある シェアリングエコノミーで日本は変わるか

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雇用を失った人たちに対するセーフティネットは大切だ。私は将来的に、毎月の収入を政府が保障する「ユニバーサル・ベーシックインカム(普遍的最低所得保障)」の導入が望ましいと考えている。昨年、スイスで年間3万スイスフランのベーシックインカム導入の是非を問う国民投票があり、これは否決されたが、考え方は徐々に広まっている。単に失業者を保護するという目的ではなく、シェアリングエコノミーを通じた多様な働き方を実現するためにも、議論されるべき制度だろう。

新たな雇用を生み経済を活性化させる

──日本ではライドシェアが道路運送法で禁じられており、民泊は一部地域を除き、旅館業法に基づき営業許可を取る必要があります。安全面はどう考えたらよいですか。

当然安全の確保は重要だが、日本だけでなく、米国でもシェアリングエコノミーは規制の対象になっている。たとえばニューヨーク州において民泊は基本的に違法だ。ニューヨークはホテル業界にとって最も稼げる都市のため、ロビー活動によって規制を守ろうとしている。むしろ中国やインドなど経済的に成熟していない国のほうが、シェアリングエコノミーは受け入れられている。

日本はシェアリングエコノミーの発展に有利な土壌がある。なぜなら、高度な個人の信用に基づく社会を築いているからだ。すでに日本でもフリマアプリの「メルカリ」が大きく成長している。シェアリングエコノミーとそれによるクラウドベース資本主義は、新たな雇用を生み経済を活性化させるものだと、日本政府は気づいてほしい。

シェアリングエコノミー
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──輸送や宿泊以外でどのような分野に注目していますか?

エネルギーとヘルスケアだ。エネルギーはまだ技術的に追いついていないが、太陽光による発電を近隣の人たちでシェアするプラットフォームが生まれるだろう。ヘルスケアは、たとえば指を切ったとき病院に行くのではなく看護師とチャットができたり、近隣の看護師に来てもらえたりするというペイジャー(Pager)というサービスがすでに生まれている。ほかにも不動産の分野で企業にコワーキングスペースを貸し出すウィワーク(WeWork)という会社に注目している。

──トランプ米大統領誕生の影響はどう見てますか?

彼はホテル業界側の人間だが、雇用の創出という点ではシェアリングエコノミーに理解を示すのではないか。

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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