松下幸之助「日本は風格ある国家を目指せ」 経営の神様が問わず語りに語ったこと

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なにか、世界のためにお金を出すという場合も、その確固たる方針がなければ、どれだけお金を出しても、非難される。少ないといって叩かれ、多いといって軽蔑される。お金の出し方が早いといって批判され、遅いといって文句を言われる。国際社会への貢献策をとっても、救済策をとっても、ぼろくそに言われるわね。

それはけしからん、と言っても、どちらが悪いかと言えば、自分の考えをはっきりと打ち出していない日本が悪いと。そやろ。昔の侍かて、戦(いくさ)をするときに、お互いに名を名乗ったがな。今の日本は、自分はこういう者ですと言わんのやから、それは非難もされるし、叩かれもする。つけ込まれもする。当たり前のことやね。

しかし、そういう方針があれば、外国も、ああ、そうか、日本は、ああいう考えで、やっておるんだなということが分かるからね、文句も言わんわけや。あるいは文句を言ってきても、いや、私たち日本はこういう国です、こういう考え方です、こういう進み方をします、こういう世界を築こうと考えて、この政策を選択しているのです、私たちは国際社会にこういう貢献をしたいから、この対応策を採るのです、私たち日本は、こういうやり方が世界を平和と幸福と繁栄の実現に役に立つと思うのですが、あなたはどう思いますか、というようなことを、自信をもって、堂々と主張することが出来る。

「風格ある国家」を目指せ

けど、それがいまは、ないからね、国の動きに、あまり力強いものがないし、政治もなんとなく頼りないということになるわな。金は出すけど、自分の考えは示さんということでは、軽蔑されるだけや。

これからの日本は、「風格ある国家」を目指さんといかんな。

自分の国のことだけを考えるのではなく、世界のこと、国際社会全体のことも考え行動する。企業も国民もまた、思いやりの心を世界に広げる。自分の言動に責任をもつ。そういう国民にならんといかんね。まあ、国際社会から尊敬され、美しい国民だと言われるようにならんと。そのためにも、日本の国として、そういう方針をつくって、国の内外に、ハッキリと宣言して、それに基づいて、国として、国民として考え行動するようにせんとね。

江口 克彦 一般財団法人東アジア情勢研究会理事長、台北駐日経済文化代表処顧問

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えぐち かつひこ / Katsuhiko Eguchi

1940年名古屋市生まれ。愛知県立瑞陵高校、慶應義塾大学法学部政治学科卒。政治学士、経済博士(中央大学)。参議院議員、PHP総合研究所社長、松下電器産業株式会社理事、内閣官房道州制ビジョン懇談会座長など歴任。著書多数。故・松下幸之助氏の直弟子とも側近とも言われている。23年間、ほとんど毎日、毎晩、松下氏と語り合い、直接、指導を受けた松下幸之助思想の伝承者であり、継承者。松下氏の言葉を伝えるだけでなく、その心を伝える講演、著作は定評がある。現在も講演に執筆に精力的に活動。

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