トランプ就任演説の注目ポイントはここだ!

政治マーケティングの観点から内容を予想

1.分断された有権者を「一致団結」させる

米大統領選では共和党と民主党との間で接近戦となることが多いため、就任演説で大統領に求められる最大のミッションは、分断された有権者をいかに国民として一致団結するよう仕向けられるかである。とりわけトランプは選挙戦中、米国の分断をさらに拡大させるような言動を繰り返してきただけに、歴代大統領が試みたミッションに取り組むかは興味深いところだ。

もっともトランプは、選挙戦の重要なタイミングに応じてマーケティングの対象を柔軟に変化させてきた実績がある。就任演説では、大統領として求められる利害関係者すべてを対象に語ることは確実だろう。とはいえ、米国の分断を意図的に行うことを選挙戦略の中核としてきたトランプが、それを成し遂げるのは容易ではない。米国や米国民で誰が利害関係者となり、その利害関係者とどのような対立構造を描くのか――今回の就任演説で最も重要なポイントとなる。

ケネディ以来、米国人が夢見ていることは

2.ビッグで人を鼓舞するような「現実的なビジョン」を示す

就任演説では、自らの政策の詳細を語るのではなく、4年間において米国をどのような国にしていくのかというビジョンを示すことが求められる。ここで重要なのは、できるだけ壮大なビジョンであると同時に、多くの国民が自らも参加したいと思えるよう現実的なものになっているかである。『ザ・ヒル』によれば、トランプの演説では「大きな夢をもつことがメインテーマになる」と伝えられている。

米国政治において重要な概念となっており、トランプが参考にするとされているケネディが引用した”a city on the hill“(丘の上の都市:米国における理想の国家像)を引用し、どのような偉大な国にしていくのか具体的に述べることも期待されている。ビッグかつ現実的なビジョンを提示することは、分断された国民をひとつにするのに効果的な施策とされる。トランプの「大きな夢」とは、はたして何だろうか。

3.重要な利害関係者に「メッセージ」を送る

大統領候補から大統領に変わった瞬間から、その人物には国際政治マーケティングの視点も求められるようになる。同盟国をはじめとする諸外国の協力を得ることが、国内の支持率を左右することになるからだ。歴代の大統領が世界に向けてのメッセージを就任演説に盛り込んだように、トランプにとってもこの点は重要になるはずだ。

ケネディも就任演説の中で、「世界の市民の皆さん、米国があなた方のために何をしてくれるのか問うのではなく、人類の自由のためにわれわれと一緒に何ができるのかを問うてほしい」 と訴え、自由は協力して守られるべきものであることを主張した。トランプはケネディの主張をさらに強力に推し進めて、世界に対してより大きなビジョンを示すとともに、そのビジョンに加わっていくためには、より重い責任や費用を共有していくことが求められることを述べるのではないか。

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