トヨタを揺さぶる「トランプ恫喝」という激震 メキシコへの投資をなりふり構わず抑え込み
その刃はついに日本一の自動車メーカーにも向けられた――。
米国のドナルド・トランプ次期大統領は1月5日、トヨタ自動車がメキシコ工場の建設を進めていることに関して、ツイッターで「トヨタはアメリカ向けのカローラを生産するため、メキシコのバハ(・カリフォルニア州)に新しい工場を作るという。ありえない!アメリカ国内に工場を作らないなら、高い関税を払え」と警告。メキシコ工場新設の撤回を強く求めた。
トヨタはすでにメキシコ工場建設に着手
トヨタは2015年4月、2019年にメキシコに新工場を設立し、小型乗用車「カローラ」を年間20万台生産すると発表しており、昨年11月の米国大統領選直後に起工式を開いたばかりだ。投資額は約10億ドル(1150億円)と巨額で、新規雇用は約2000人に上る見込みだ。
トヨタはこれまで、あえて工場の新設を数年間凍結し、既存工場の能力増強や生産技術の向上に注力してきた。まさに久しぶりとなるメキシコの新工場は新たなクルマ作りの知恵と工夫を結集した象徴的な存在なだけに、大きな衝撃が広がっている。
実際にはトヨタが工場を新設するのはメキシコのバハ・カリフォルニア州ではなく、グアナファト州。トランプ氏のツイッターは正確性を欠いている。ただトヨタはトランプ氏に指摘されたバハの工場でも、1.5億ドル(約172億円)を投じて、2017年末をメドに米国で人気が高いピックアップトラック「タコマ」の生産能力を6割増の年間約16万台に増やす計画で、どちらにしても米国向け輸出を見込んだメキシコへの投資を増やす方向にある。
トランプ氏はこれまでメキシコへの相次ぐ投資で米国内の雇用が奪われているとして米国内の製造業を批判してきており、メキシコなどとの輸入関税を撤廃している北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しに言及。米国企業が国外に移転した工場から輸入する場合、35%の高い関税をかけると警告していた。
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